2022年問題「生産緑地の一斉解除」でアパート建築ラッシュか!?

再びアパート建築バブルが起きるのか

これは、都市部の身近にある農地が一斉に失われていく可能性をはらんだ問題である。

生産緑地では30年間の「農地管理」義務が課せられているが、その大半で2022年に期限を迎える。地方圏に限らず大都市圏でも空き家問題が年々深刻化するなかで、新たに大量の住宅用地が生まれることが懸念されている。

「生産緑地」とは

そもそも「生産緑地」とはどういったものであろうか。

国土交通省(HP)では、以下のように定義されている。(緑地保全・緑化より)

平成26年都市計画現況調査」(国土交通省)によると以下のような状況である。

  • 生産緑地制度が提供されたのは東京23区、首都圏・近畿圏・中部圏内の政令指定都市
  • 2013年時点の生産緑地は全国で13,859ヘクタール(約4,192万坪)、東京都に3,388ヘクタール(1,024万坪)、23区内には451ヘクタール(136万坪)

都市計画で保全することを決定した大都市圏における市街化区域内の農地であり、現在219の自治体に、6万3,539地区、1万3,859haが存在することになる。

単位が大きすぎるのでイメージとして、東京ドーム(4.6ヘクタール)何個分で計算してみると、全国に3012個、東京都に736個、23区に約96個、埼玉県に405個分となる。

1991年の生産緑地法改正により市街化区域内の農地は、保全する「生産緑地」と、宅地などに転用される農地に区分された。生産緑地地区に指定されると、所有者は農地として管理を行うことが義務付けられ、建築物を建てるなどの営農以外の行為が制限される。一方、それ以外の農地は、宅地並みの固定資産税を課せられる。

生産緑地は、住宅の建築が可能な市街化区域内で面積500㎡以上の土地。生産緑地の指定を受けると所有者は建築物を建てるなどの行為が制限され、農地としての管理が求められる。

2022年には不動産価格の大暴落か

2022年で法律施行後30年となり所有者は市区町村の農業委員会に土地の買取りを申し出る事が可能。2020年には生産緑地の解除により一斉に大量の土地が市場に出る事になる。

多くの土地に買い手がつかずに、叩き売りになる事も考えられる。
宅地として所有していたら、大幅に増加した固定資産税も支払えなくなってしまう。

売れないなら、賃貸住宅を建築する事で固定資産税を1/6に減額しようと考える地主も多くなる。

今、建設会社が2022年問題というセミナーを各地で行っている。
建設会社は生産緑地指定解除を絶好の商機として賃貸住宅の販売先として生産緑地所有者を虎視眈々と狙っている。

羽生市は草刈場

賃貸住宅の建設戸数が大幅に増えるとどうなるのか?

埼玉県羽生市は2003年「市街化調整区域」の農地に住宅を建築できるよう条例を定めた結果、市街地から程遠い立地に新築アパートが乱立。結果として、おびただしい空き家と将来のインフラ維持費という負債を残すことになった。

多くの生産緑地が放出される可能性が高い2022年までに対応が遅れた自治体は羽生市のように、新築住宅建設の草刈り場となることが懸念される。

急増する空き部屋 翻弄される地域 (NHKクローズアップ現代より)

埼玉県北部、人口5万の羽生市です。

国の規制緩和を受けて、市では人口の減少を食い止めようと、平成15年、住宅の建築を促す施策を打ち出しました。

市の都市計画ではもともと新しく住宅を建てられるのは市の中心部だけ。その他の地域では原則新規建築ができませんでした。

そこで規制を緩和し、市のほぼ全域で住宅を建築できるようにしたのです。

羽生市開発建築課 佐藤将史係長

「若い世代の人たちが入ってくる。その結果、地域の活力につながればというのがもともとの狙い。」

規制緩和の目的は、定住につながる戸建て住宅の建築を促すことでした。

ところが建築されたのは150棟のアパート。その9割以上がサブリースでした。

市の思惑は大きく外れたのです。

空き部屋率は倍増し、35.8%に達しました。

羽生市は、サブリースのアパートが需要を超えて建設されたことが、町の空洞化につながったと見ています。

サブリース以外のアパートでも空き部屋が急増し、家賃相場が下落・・・

「想定外の道路の維持管理費というのが少しずつ増えて積み重なっていくという形になりますので、そこについては計画外のコスト増になってしまう。街づくりの弊害を招くようなものにつながりかねないという危機感がある。」
・・・

「市民農園等整備事業」で生産緑地の買取り

平成24年度から生産緑地の追加指定を実施している自治体もあるが、2022年問題の解決策にはならない。

もう一歩踏み込んで、生産緑地の解除条件を緩和し、保育所・グループホーム等の住宅用地以外の活用方法を探っていくこともこれからの大きな課題になる。

また、国土交通省は「市民農園等整備事業」で生産緑地の買取りを後押ししており、2016年度からは面積要件を緩和してすべての生産緑地に対応できるようになった。さらに、自治体が社会福祉施設への用地賃貸をあっせんするなど、独自の活用策を探るケースもあるようだ。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)