金融機関の融資判断基準とは ~ アパートローン「賃貸住宅融資」、長期事業収支計画書の重要性 ~

近時の相談から見えてくる融資の現状

マイナス金利の影響でしょうか、資産価値、つまり担保価値以上の融資が進んでいます。

特に、アパートローン「賃貸住宅融資」については、不完全な、「長期事業収支計画書」に基づき融資が行なわれている可能性があります。

ただ、殆どの建築請負業者は、5年後には過剰なアパート供給により、家賃下落、空室率が間違いなくUPすることの認識がありながら、意図的に計画書には反映されていません。これでは、健全なアパート経営は難しくなります。

通常の銀行融資

基本となるキーワードは次の3つです。

  • 「属性」
  • 「与信」
  • 「担保価値」

(1)属性

銀行では「融資を申し込む人の勤務先・年収などの社会的・経済的背景のこと」を指します。

たとえば

「上場企業、○○株式会社の次長さん」
「3人家族で家は持ち家、年収は○百万円」

こういった内容が属性です。融資判断と限度の値踏みをするわけです。

(2)与信

人物の信用評価を行い、信用する限度額を設定する(与える)ことを与信といいます。個人の与信、つまり貸し出し限度額を決めます。

つまり、収入と支出のバランス、つまりインプットとアウトプットのお金の動きです。

与信額は融資後のキャッシュフロー状態によって決定されるということになります。具体的には「長期事業収支計画書」に基づいていますので、計画書の信頼度が問われます。

(3)担保価値

そして金融機関が最も重要視するのが対象物件の担保価値です。
物件の担保価値は、一般的に二つの方法、

  • 積算法
  • 収益還元法

で評価されます。

積算法

物件の土地評価額と建物の評価額を合算して計算します。
土地は路線価や取引事例などを参考に、建物は新築価格から経年に対する減額を考慮して決定されます。

収益還元法

物件の正味家賃収入に対して、キャップレート(収益不動産に対して期待される収益の標準的な利回り)で割り戻す方法です。
正味の年間家賃収入が480万円で、キャップレートが8%であれば、収益還元法による評価は480万円÷8%=6,000万円と算出されます。

この二つの方式で算出された値をもとに、掛け値(担保価値に対して融資する割合)をかけた値が、金融機関の担保に対する融資限度額になります。これに個人の属性に基づいた与信金額を合算すると融資上限が決まってくるのです。

数式にするとこうなります。

融資上限 = 個人の与信 + 担保評価の限度額

金融機関の融資基準

たとえば土地の評価は時価額の70%で、建物の経済的耐用年数は鉄筋コンクリートでも30年で計算するなど、各金融機関が個々に内部基準として定めているものです。

今までは、担保評価は収益還元法に重きをおいていましたが、現在は積算法が主体になっているようです。

自己資金比率の確保

大多数の金融機関で行われているのは最低限必要な自己資金比率の確保です。

たとえば、8,000万円の物件があったとします。

担保評価、与信評価を合算すると8,000万円を超えた場合、計算上8,000万円の融資が可能なはずです。

しかし、「融資にあたっては自己資金20%以上とすること」という基準がある場合、融資してもらえる金額は8,000円ではなく6,400万円なのです。