民泊新法、営業日数上限180日の問題点

日経新聞「民泊「解禁」法が成立 届け出義務付け、18年1月にも施行」でも報じられたが、自宅の空き部屋に旅行者を有料で宿泊させる民泊を全国で解禁する「住宅宿泊事業法」、いわゆる民泊新法が、2017年6月9日午前の参院本会議で可決、成立した。今国会で成立すると、見通しとして早ければ2018年1月に施行されることになる。

年間営業日数180日という上限設定

この民泊新法の中で話題になっているのが、年間営業日数である。これまでは特に営業日数の制限はなかったが、今回の民泊新法では、年間営業日数が上限として年間180日に制限されることになる。さらに自治体が条例で短縮できる規定も盛り込まれている。

営業日数に上限が設定されるということは、収益上の問題が起きることが懸念される。特に、自分の持ち家ではなく、借りた物件を使って民泊を始めるような場合は、採算が合わなくなる可能性がある。

180日を超えた民泊サービスは「旅館業」になる

1年は365日ある。今回の年間営業日数180日では、1年の半分しか営業できず、半分以上は休むことになってしまう。

そこで、採算を合わせるために180日を超えた営業を行おうとすると、今度は「旅館業法の簡易宿所営業の許可」を取得する必要がでてくる。つまり、民泊新法ではなく、旅館業法の元、民泊ビジネスを旅館業として行なうことになるのである。

180日での営業 新法の民泊営業
180日では採算の合わない 旅館業法の簡易宿所営業

ここで、旅館業について理解いただくために、厚生労働省からのQ&Aを以下に引用する。

民泊サービスと旅館業法に関するQ&Aより(厚生労働省)

Q1 旅館業とはどのようなものですか。

A1 旅館業とは「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」と定義されており、「宿泊」とは「寝具を使用して施設を利用すること」とされています。そのため、「宿泊料」を徴収しない場合は旅館業法の適用は受けません。

なお、旅館業がアパート等の貸室業と違う点は、(1)施設の管理・経営形態を総体的にみて、宿泊者のいる部屋を含め施設の衛生上の維持管理責任が営業者にあると社会通念上認められること、(2)施設を利用する宿泊者がその宿泊する部屋に生活の本拠を有さないこととなります。

Q2 旅館業の許可には、どういった種類のものがありますか。

A2 旅館業法では、旅館業を次の4つに分類しています。
(1)ホテル営業:洋式の構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
(2)旅館営業:和式の構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
(3)簡易宿所営業:宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設で人を宿泊させる営業
(4)下宿営業:施設を設け、1月以上の期間を単位として人を宿泊させる営業

Q3 「民泊サービス」の営業許可を受けようとする場合は、自己所有の建物でなければならないのでしょうか。賃貸物件を転貸(いわゆる又貸し)することはできるのでしょうか。

A3 「民泊サービス」の営業許可を受けようとする場合、ご自身の所有する建物を使用する場合と他者から建物を借り受けて実施する場合が考えられますが、いずれの場合でも営業許可を受けることは可能です。

ただし、他者から建物を借り受けて営業を行う場合は、賃貸借契約において、転貸(又貸し)が禁止されていないことや、旅館業(「民泊サービス」を含む。)に使用することが可能となっていることを貸主や賃貸住宅の管理会社に確認いただく必要があります。

なお、賃貸借契約において、旅館業(「民泊サービス」を含む。)としての使用が可能な場合であっても、使用予定の建物が所在する地域において旅館業の立地が禁止されている場合があります。また、建築基準法の用途変更の建築確認の手続きが必要となる場合があります。詳しくは、都道府県等の建築基準法担当窓口にご相談下さい。

上記のような旅館業を営むためには、前にも述べた通り「旅館業法の簡易宿所営業の許可」を取る必要があり、当然のことながら民泊新法の元で行う民泊ビジネスよりもハードルが高くなる。これから「民泊」という形でビジネスが火発化されると思われるが、民泊新法が施行されるまでの間、民泊ビジネスに参入する際の事業としての計画性を考える必要がある。

参考:法律施行までの行程
(平成29年6月9日現在)

平成29年6月1日衆院本会議で採決

平成29年6月2日 参院国土交通委員会審議入り

参院国土交通委員会審議・可決

参院本会議で採決

法案可決・成立(会期末6月18日)

施行日を定める政令制定
・本則施行日が確定
・準備施行日が決定
※施行日が確定すれば全体のスケジュールが確定。

法に関する政令・省令制定
(具体的な基準が示される)

ガイドラインの制定
(期間限定の具体的な基準等が示される)
※国のガイドラインが決まらないと各都道府県の条例案が決まらない。

各都道府県で条例検討

各地方議会で採決
※地方議会毎に開催日程があるので注意が必要。

条例制定

周知

届出受理

住宅宿泊事業法施行・住宅宿泊事業開始
(早ければ2018年1月施行)