株式会社エヌ・ビー・ラボ破産手続き開始決定

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)サブリースビジネスモデル破綻の分析

帝国データバンクによると、(株)エヌ・ビー・ラボ(資本金8600万円、横浜市中区桜木町1-101-1クロスゲート7階、)は、2017年3月29日に東京地裁より破産手続き開始決定を受けた。負債は債権者約1000名(労働債権含む)に対し約13億9700万円。

<破綻の背景>

背景として、サブリース管理・建築業者の「自己資金不要!新ビジネスモデル」「借金しない病院・医院の建替え」「地域貢献」「ステイタス性」等の謳い文句で、積極的な勧誘と、それと相まって、『今後、高齢者は増えるので介護は儲かる』という安易な発想で、不動産業者や地主、ひと山当てようというベンチャー企業など、介護とは縁のない様々な業種が大挙参入し、高齢者住宅の建設ラッシュが起きている。

<エヌ・ビー・ラボ社破綻の分析>

■急速な事業展開

老人ホーム・介護施設を展開する2006年11月1日創業の株式会社エヌ・ビー・ラボ)は、「エルスリー」のブランドで訪問介護併設型高齢者アパートをL社〔上場企業:建築・サブリース管理会社〕と提携し2015年までに、次々と全国に100施設以上を開設した。

■サブリース制度導入で地方地主オーナーに積極展開

L社とエヌ・ビー・ラボ社は、L社のサブリース展開のノウハウを駆使し、確固たる人材育成計画を持たず「サ高住」の展開をした。地銀もマイナス金利の影響もあり、甘い審査で地主オーナーに積極的に融資した。

■格安モデル「エルスリー」、破綻を予見しながら展開した。

エルスリーとは「ローコスト、ロープライス、ロングタイム」を意味。入居一時金はなく、利用料(家賃)も食事など込みで月8~9万円と、従来型施設のほぼ半分です。そもそも格安のビジネスモデル自体に、構造的に無理があり、破綻することを予見しながら展開したと思われる。

■施設運営人材確保の問題

急激な施設数の増加に対して、施設を運営するための人材確保が追いつかず、採用コストが増大したほか、既存施設における人材引き留めのための人件費増加も重くのしかかり、大幅な赤字を強いられ、債務超過に転落していた。 その後も人材確保はままならず、介護スタッフ不足により未稼働となった約30箇所の施設の経費が収益を圧迫していた。

■入居者確保の問題

介護給付金収入を当て込んだ家賃支払い構図の破綻も一因。

■建築業者と運営会社の不透明な関係

サブリースアパート建築で、大きな収益構造である建築粗利益の一部が不透明な形で分配されていたようだ。〔内部情報〕

■長期事業収支計画書内容

更新時家賃減額の説明が出来ない構図(借地借家法第32条1項)

■介護報酬の不正請求が発覚

2016年8月には埼玉県狭山市で運営していた訪問介護事業所「ひまわり 埼玉西部」で介護報酬の不正請求が発覚。指定事業所の取消処分を受けたことで、対外的な信用が失墜し、新たな資金調達も事実上困難な状況に陥っていた。

■エヌ・ビー・ラボ社事業資金調達について

診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、「ナーシングケア債」との名称の社債を発行し、資金を調達していたが、証券取引等監視委員会(SESC)による、「ナーシングケア債」の業務改善命(2016.6.17)により入金の流れが止まった。(虚偽表示)

■介護保険制度を利用した資金調達の構図・リスクの過小評価が行なわれていた。

一社債にすぎない「ナーシングケア債」について、「元利金の支払いは支払基金等からの支払を源泉とし、現行の医療保険制度に対して日本国政府の公約は大きく安全性も高い」などとリスクを過小評価して、投資家から資金調達。(証券取引等監視委員会)

<関連情報>

証券取引等監視委員会
野畑証券株式会社に対する
検査結果に基づく勧告について
(2016.6.17)

1.勧告の内容

東海財務局長が野畑証券株式会社(愛知県岡崎市、法人番号6180301001707、代表取締役 野畑 響平 (のばた きょうへい)、資本金1億6500万円、常勤役職員32名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

○金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

(1)株式会社メディケアインベストメントに関連する債券について

株式会社メディケアインベストメント(東京都千代田区、代表取締役 池川一臣、金融商品取引業の登録はない。以下「MCI社」、「池川代表」という。)は、診療報酬債権等の買取業務を行うためとして、「ナーシングケア債」との名称の社債(以下「MCI債」という。)を発行し、資金を調達している。

MCI債の発行残高は、平成28年3月末現在、約62億円となっており、そのうち野畑証券株式会社(以下「当社」という。)が約59億円、IS証券株式会社が約2億円を販売している。

なお、当社はMCI社の株主となっている。

また、MCI社は、TMファンド1号株式会社及び上光メディカルファンド株式会社(以下、それぞれ「TM社」、「JM社」という。)をそれぞれ設立し、運営を行っている。

両社(代表取締役はいずれも池川代表)は、診療報酬債権等を買い取り、それを「裏付資産」とするとして、TM社においては「ナースケア債」との、JM社においては「メディカルナース債」との各名称の社債(以下、それぞれ「TM債」、「JM債」という。)を発行し、資金を調達している。

TM債及びJM債の発行残高は、平成28年3月末現在、それぞれ約7億円、約22億円となっており、それぞれ竹松証券株式会社、上光証券株式会社が販売している。

MCI債、TM債及びJM債の実態を検証したところ、以下の事実が認められた。

ア MCI社、TM社及びJM社の間で、随意に資金の貸借や診療報酬債権等の売買が行われているなど、当該3社は渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている。

こうした中、MCI社によるTM社からの回収困難な介護給付費債権の買取り(TM債の投資者の損失リスクをMCI債の投資者に転嫁)、TM債の償還資金の捻出のためのTM社からMCI社やJM社への診療報酬債権等の売却等が行われている。

また、診療報酬債権等の買取り資金の融通のため、MCI社及びJM社の間において、相互に資金の貸借等が行われている。

イ MCI社は、池川代表が代表取締役を務め、大幅な債務超過となっている高齢者施設運営会社から介護給付費債権のほか、家賃等に係る債権も買い取るなど、平成27年以降同社からの買取りを急拡大しており、同年末時点でMCI社による診療報酬債権等の買取残高全体の3割超に上っている。

当社は、MCI債の販売に当たって、商品内容や発行会社等の審査を実質的にはほとんど行っておらず、販売を開始した後も事後的なモニタリングをほとんど行っていないことから、上記ア及びイのMCI債の実態をほとんど把握していない。この結果、当社によるMCI債の販売について、以下の問題が認められた。

上記アに関し、当社は、販売用資料等において、MCI社、TM社及びJM社が渾然一体となって診療報酬債権等の買取業務の運営を行っている実態に一切言及せず、MCI社が単独で診療報酬債権等の買取業務の運営を行っているかのような誤解を与える表示を行った。

上記イに関し、MCI社は、当該高齢者施設運営会社から、介護給付費の将来債権を4ヶ月分買い取っているほか、家賃等に係る債権も買い取っているにもかかわらず、当社は、販売用資料において、事実に反し、買取対象債権を「介護給付費債権及び診療報酬債権」のみと記載し、また、買取月数についても「発行体は、対象の法人から最大3ヵ月の未診療報酬等の債権を買取ります」などと記載し、説明していた。

上記ア及びイに関し、MCI社は、回収困難な介護給付費債権や大幅な債務超過となっている先の介護給付費債権等について、そうした実態を知りながらほとんど審査することなく買い取っているにもかかわらず、当社は、販売用資料において、事実に反し、買取先の「財務内容等運営の適正性のチェック」を行うと記載し、説明していた。

さらに、当社は、MCI債の元利金の支払いについて、MCI社が発行する債券であるにもかかわらず、契約締結前交付書面に「元利金の支払いは支払基金等からの支払を源泉としており、現行の医療保険制度に対して日本国政府の公約は大きく安全性も高い金融商品」であると記載し、顧客に対し、あたかもMCI債が社会保険診療報酬支払基金等と同等のリスクしかないかのような誤解を与える表示を行った。

当社の上記の行為は、金融商品取引法第38条第8号(平成26年5月30日法律第44号による改正前は同条第7号。)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)

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