投資マンション購入、収入改ざん行為 ~ 地銀・ノンバンクの実態 ~

物件購入時、物件価格の1割~2割の自己資金は、本来必要です。

しかし、20代、30代など、特に若い人で1000万円単位で資産があることは極めて希です。オーバーローンで購入でもしないと投資は不可能でしょう。

ただ、オーバーローンで購入するにしても、銀行に対し、まずは「自己資金があります」と見せるための金銭が必要です。そもそも、全くの無貯金では話になりませんし、仮に親族から借入ができれば良いかもしれませんが、貯金が数百万もない人ですと、不動産投資は難しいでしょう。

そういった人に対し、不動産業者の中には「自己書類の改ざん行為」を薦めてくる場合があります。「源泉徴収票」を改ざんした事例もありますし、ローンを通すために、銀行やノンバンクが見てみぬフリをして融資を実行する場合もあるようです。

実は、これはマンション販売では良くある事例なのです。

事例:修正申告を行い審査通過

当センターに次の方が相談に来られました。

センター相談事例

  • 会社員男性(年収320万、 勤続6年)
  • 家族構成:妻(専業主婦)、こども(3歳 )

相談内容

東京近郊で3400万円ぐらいのマンションを探していたのですが、探している地域に3580万円の物件が出たので、購入しました。

購入時、販売業者にどうしたらよいか尋ねたところ、「現在の年収では無理ですが、なんとか通るように年収に色付けて審査通してみましょうか。」と言われました。

その結果、銀行の融資が通り、マンションを購入できたのですが、ある日、国税から督促状が届いたので驚いています。

一体何が起きたのでしょうか。

年収320万円で3580万円の融資が通るというのは、普通あまり例がありません。

ただ、持ってきていただいた資料の中に、販売業者が送付してきたという確定申告控えがありました。

それを調べたところ、源泉徴収票が改ざんされ、収入が660万円になっていたのがわかりました(国税からの督促もこれが原因です)。

融資本申込時には課税証明書と言って役所発行の公的な収入証明書も提出が必要ですが、これも修正申告を行って辻褄を合わせ、融資先銀行に持ち込み、融資を実行させたようです。

この様な行為は、悪質販売会社によって積極的に行なわれいます。正に「詐欺行為」の誘引と言えるでしょう。

自己資金書類の改ざん行為

この事例は「自己資金書類の改ざん行為」です。貯金・保険・財形貯蓄・金・株などの種類は多く有りますが、中でも貯蓄額を改ざんする行為にあたります。

やり方としては、紙の通帳は改ざんできないため、インターネットバンクの残高を表示した状態で画面キャプチャを取り、画像編集ソフトで修正してしまうといったやり方があります。周囲の枠線などもうまく編集して誤魔化し、わからないように数字を増やすなどは、専門の人間からすれば簡単なことでしょう。

もちろん、この行為は悪質な「複合犯罪行為」です。通帳の額面を改ざんして使用する行為は「私文書偽造罪」に当たり、それを利用して不正に融資を引き出そうとする「詐欺罪」にあたります。

目の前で画面を表示し、残高を確認させられたりすれば、簡単に偽造したことが発覚してしまうのですが、金融機関側も自社の成績となるため、黙認する例もあるようです。

能力以上の借入は、将来必ず返済が滞り、デフォルトする可能性があります。自己資金の改ざん行為は、お金がない人にとって、決して救いではありません。絶対やってはいけないことです。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)

参考: