地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(6)~ シェアハウス サクトインベストメントパートナーズの破綻 銀行の貸手責任を再度問う~

前回の地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(4)では、「寄宿舎」展開ビジネスでのサブリース契約の事例について紹介しましたが、今回は、全国賃貸住宅新聞に掲載されてた「シェアハウス」展開ビジネスについて見てみたいと思います。

物件を管理しているサブリース会社から、突然サブリース家賃の振込が止まった!

2017年12月11日の全国賃貸住宅新聞記事「シェアハウス投資被害拡大」によると、2017年2月からオーナーへのサブリース家賃の振込みが止まり、約130人のオーナーが被害にあっているようです。そのうち、30人のオーナーは、建築がされないまま、土地を購入した際の借入利息を銀行に払い続けている状況のようです。

それらの物件を管理しているサクトインベストメントパートナーズ株式会社(東京都中央区 代表取締役 大森 啓太郎)ですが、現在音信不通。130人の銀行融資残高は、300億にのぼるといいます。

その勧誘方法とは・・・

勧誘対象は、大手サラリーマンや勤務医など、年収が800万円以上ある属性の良いオーナーのようです。そのような人たちを勧誘する際の謳い文句は、次のような感じだそうです。

  • 「利回りは10%、30年間を絶対維持する」
  • 「ひとつの物件で利益が出なくても、ほかに利益が出ている物件から家賃を補填するので安心」
  • 「コンセプト型のシェアハウスにして、高い入居率を確保していく」

さらに次のような後押しをし、仮契約を結んでいったようです。

  • 「ノーリスクでずっと保証する」
  • 「銀行の融資が緩くなっているいましかない」

これらの言葉を信じで購入したわけですが、物件のほとんどは、土地と建物を合わせ、相場と比べて倍の価格で売られていたようです。今回、このようになったことでオーナーが売却をしようとしても、購入したときの金額では到底買い手がつかないため、どうにもならない状況です。

金融機関の審査に通った=良い物件!?

不動産会社から紹介された金融機関は、自己資金不要、変動金利で借入期間30年、金利は3.5%以上(場合によっては4.5%)という融資条件が多いようです。

ただ、ある銀行は、たった1週間でアパートローンの融資をつける場合があります。その際、金融機関は物件調査を行っていない可能性もあるようです。

一方、オーナーは、みな口をそろえて「金融機関がお金を貸してくれたのだから、良い物件だと思った」と言います。

株や投資信託の感覚とは異なる不動産投資

オーナーはこれから数十年にわたり、毎月ローンを返済しながら家主業を営むわけです。ただ、サブリース契約の場合、オーナーは直接物件を管理するわけではありません。ましてや、上記のような勧誘をされてしまうと、株や投資信託と同じような感覚で契約を結ばれてしまう方も多いようです。

ただ、不動産投資の場合、株や投資信託とは明らかに異なり、自己資金の範囲内でやっているわけではありません。長期ローンを組む賃貸事業は簡単にはやめられず、数十年に渡ってずるずる続いていくことになるのです。

しかも、直接管理するわけではないサブリースである以上、契約時において、初めて不動産投資を始められる方が、不動産の知識が必要と感じる場面はあまりないかもしれません。

今回の事例において、もしもオーナーが、契約する前に土地の相場価格を調べ、それが倍以上の値がつけられていることに気づいた時点で、このビジネスモデルが、これから何十年も安定・継続するのかどうか、推測できたのではないかと思います。あるいはご家族や知人、または詳しい専門機関に問い合わせることもできたかもしれまん。

自分がこれから何十年もオーナーとなる物件に対し、管理会社がどういう賃貸管理をしてくれるのかを知るのは当然とも言えます。

といはいってもオーナーはやはり素人。だからこそ、金融機関は重要な最終チェックポイント

しかし、オーナーはやはり不動産の素人です。普段は不動産事業と関係ない別の職業の方がほとんどなので、サブリース契約の時点では、不動産についての「にわか知識」しかありません。

そのような人たちにとって、金融機関による「審査」は、最終チェックポイントなのです。審査に通った段階で、銀行のお墨付きの良い物件と、手放しで判断してしまうのも無理はありません。さらに「自分は銀行から億単位で融資を引き出せるのだから、普通のサラリーマンとは違う」と感じてしまう方もいます。

今回の事例については、サブリース会社だけでなく、審査を行った銀行側の貸手責任も問われることが推測されます。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)