地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(1)~ 第三者オピニオンの活用を ~

当センターの記事「もう一度見直そう『公益』とは」でも紹介したように、日本の法律には、銀行に関して規定する銀行法(ぎんこうほう、昭和56年(1981年)6月1日法律第59号)というものがあります。

第一条 この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

また、以下のように禁止行為というものが定められています。

禁止行為

銀行は、顧客に対する、次に掲げる行為をすることが禁止されています。

  • 虚偽告知(13条の3第1号)
  • 断定的判断の提供等(13条の3第2号)
  • 不当に、特定関係者その他密接関係者の営む業務に係る取引を行うことを条件として、信用供与又はそれを約すること(13条の3第2号、銀行法施行規則14条の11の2)
  • 重要事実の不告知等(13条の3第4号、銀行法施行規則14条の11の3第1号)
  • 不当に、自己の指定する事業者と取引を行うことを条件として、信用供与又はそれを約すること(同条第2号)
  • 優越的地位の濫用(同条第3号)

そういった銀行も一企業であるわけですが、ある銀行では以下のような言葉でCSRの定義と定めています。

事業を遂行する中で、①お客さま、 ②株主・市場、 ③社会・環境、 ④従業員に、より高い価値を提供することを通じて、社会全体の持続的な発展に貢献していくこと
※CSRとは、「Corporate Social Responsibility (企業の社会的責任)」の略称で、社会全体の持続的な発展に向け、企業が果たしていく役割のことを意味しています。

不動産市場において、一個人に対し、数千万から億単位の資金を融資する銀行の役割というのはとても重要ですが、当センターの活動の根底にある「公益」の観点から考えると、適正な不動産取引を推進し、住生活環境の整備・向上を図るための中核を担うのが、社会の「公器」としての銀行といえます。

第三者オピニオンの活用を

当センターが受ける相談の中には、政府系金融機関でローンを組まれているオーナー様がいらっしゃいます。

そういった政府系金融機関などの事業系の融資、特に賃貸住宅向けフルローンについて、申し込み者が提出する長期事業収支計画(建築請負業者が作成)の精査依頼を受ける機会がありますが、専門家が見ると、とても実効性のあるプランとは思えない不完全な資料が多く散見され、将来的にオーナーが借入金の支払いに困難となる状況に陥ると予見できます。

融資担当(審査担当)者も当然判断できる立場にいるわけですが、各々の金融機関の融資基準を何となくクリアーしており、莫大な金額が、不動産市場に流れ込んでいる状況です。

その結果、現場感覚で言いますと、実効性に乏しい計画を元に融資を受けてしまった“デフォルト予備軍”が相当生まれてきているといえます。

これらを避けるためにも、単に業者の提案を鵜呑みにするのではなく、事前に第三者オピニオンの活用をし、安全な運用を行う姿勢が求められています。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)