備付けのエアコンの修理代金は賃借人負担という修繕特約がある場合

賃貸マンションの備付けのエアコンが故障し、不動産管理会社に修理を依頼したところ、特約で修理は賃借人負担となっているので、電気店に自分で修理を依頼するようにと断られました。とりあえず自分で電気店へ修理を頼み、室外機のコンプレッサー不良交換で、5万円の修理代を支払いました。
本来であれば、備付けの設備は貸主が修理代金を負担するのが道理だと思うのですが?

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民法606条1項で賃貸人は修繕義務を負っています。賃借人の故意・過失がない限り、賃借人が修繕をした場合、賃貸人に対してその費用を請求することが出来ます。

但し、同条は任意規定であり、特約で修繕義務を賃借人に負担させることは可能です。

しかし、以下の判決のように、特約を結べば何でも認められる訳ではありません。

「借家人の負担において修繕を行う旨の特約をもって賃借人に積極的に修繕義務まで課したものと解することはできない。仮に修理特約により何らかの修繕義務を負うものとしても、その範囲は小修理・小修繕の範囲に限られるべきである」(名古屋地裁平成2年10月19日判決)。

「修繕特約は、一定範囲の小修繕については賃借人の全額負担とする旨を定めたものであるといえるが、居住用建物の賃貸借における特約の趣旨は、通常賃貸人の修繕義務を免除したにとどまり、更に特別の事情が存在する場合を除き、賃借人に修繕義務を負わせるものではない」(仙台簡易裁判所平成8年11月28日判決)。

即ち、家主の修繕義務を免除したにとどまり、積極的に借家人に修繕義務を課したものではありません。仮に修繕特約によって賃借人が修繕義務を負うとされる場合でも、少額の費用で済む「小修繕」についてのみ修繕義務を負い、「大修繕」については修繕義務を負いません。

従って、大修繕に関しては修繕特約を結んでも無効というのが裁判例です。

結論、修理代金が概ね1万円以下の場合が小修繕と言われています。相談者のエアコン修理は、小修繕とは言えないので、従って、修繕義務を負いません。

賃借人が自ら修理費用を負担した場合は、賃貸人に対して、民法608条により、直ちに支出した費用の全額を費用償還請求できます。賃貸人が修理費用を支払わない場合は、家賃と相殺することが出来ます。