介護保険制度を利用したサブリース賃貸経営の現状

サブリース・新ビジネスモデル「サ高住」のリスク管理の重要性

<介護保険制度 + 賃貸借契約(サブリース) + アパート建設>の展開

 厚生労働省は、2015年08月06日に平成26年度 介護給付費実態調査の概況(平成26年5月審査分~平成27年4月審査分)を発表しました。

それによると、介護保険給付の受給者数は5,968万人、65歳以上の18%が認定者、平成27年5月暫定版で、第1号被保険者数(65歳以上)は、3,314万人となっていました。

高齢者の中でも介護を必要とする約410万人は、既存施設の不足から高齢者向けの施設や住宅への待機者となっています。この状況からも高齢者向け賃貸のニーズが高いことが分かりますし、何より社会的役割として使命感が大きいといえます。

ただ、介護を必要とする人の中でも、24時間体制での介護が必要な要介護認定が4~5の人たちは賃貸に受け入れることは難しくなります。

多くのアパート・マンションの家主は、要介護3までの老人のひとり暮らしを受け入れることに難色を示します。年金暮らしであるための収入面の不安や、孤独死の心配などがその理由として考えられます。ただ、そのような家主が多いからこそ高齢者の住居は不足して需要が高まっているといえます。(日本管理センター株式会社)

 サ高住は入居者との間で賃貸借契約を結ぶ

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームには違いがありますが、分かりやすいところで契約形態が異なります。サ高住は入居者との間で賃貸借契約を結びますが、住宅型有料老人ホームは利用契約を結ぶようになります。家主やマンション経営の経験がある人にはサ高住のほうがなじみやすいかもしれません。また、サ高住は、法律の規定に基づいて建築、運営することで国から補助金を受けることもできます。

今、ブームの低価格のサービス付き高齢者向け住宅。10万円台で提供するところが増えています。中には8万円台もあります。入居者やその家族からみればありがたい限りですが、経営という視点から見ると疑問も残ります。

なかには運営会社は地主さんの支払い賃料を逆ザヤをおこしているところもあります。なぜ?逆ザヤをおこしても運営できるのでしょうか?

答えは介護報酬にある。介護報酬で安定収益を上げて、その中から地主さんに逆ザヤ賃料を払っているからです。売り上げの中心を介護保険に頼りすぎになるのは、中期的に見たらリスクがあると考えられます。

立地については、最寄り駅から都市部へのアクセスは良いものの、駅からバスを利用するような、一般的なアパート・マンションの経営には適さない立地でも経営が成り立ちます。このような立地で一般的なアパート・マンションを建築した場合、新築時には相続税対策効果は高くなるものの、長い目で見ると空室が増えてマンション経営自体が失敗するケースが多くなります。

サ高住はサブリース制度導入で積極展開

 <家主勧誘セミナー例> (レオパレス21)

  • 自己資金不要!新ビジネスモデル
    「借金しない病院・医院の建替え」
  • 賃貸住宅事業の視点から
    「サービス付き高齢者向け住宅&整備事業の活用について」
  • 高齢者施設による活用 高齢化社会に伴い地域・社会に必要とされている有料老人ホームなどの高齢者施設による活用をご提案しています

 サ高住は提供する会社によってはサブリースを取り入れているものも多くあり、相続税対策としては賃貸割合が100%になるため、節税効果を高めることもできます。

一般的なアパート・マンションにとって「立地」は入居者を募る上で重要な条件です。設備や間取りといった条件はリフォームで改善することができますが、立地だけは改善することはできません。

所有している土地が、いわゆる1.5から2等立地であるならば、減少していく若年層をターゲットにした一般的なアパート・マンションを建てるよりも、増加を続ける高齢者向けのサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と住宅型有料老人ホームを建てたほうが将来性はある としています。

相次ぐ老人ホームの倒産〜突然の退去通知

高齢者施設を運営する事業者が、過去に例のないペースで続々と破綻しています。

今年上半期の老人福祉・介護事業者の倒産件数は、前年同期比46・4%増の41件と急増。これは介護保険法が施行された’00年以降、最多の倒産ペースです。(東京商工リサーチ)

今年の特徴としては、負債総額5000万円未満の倒産が前年同期比87%増と急増している。小規模な介護事業者が経営に行き詰まり、次々と倒産に至っているのです。

「’00年に介護保険制度がスタートしてから、『今後、高齢者は増えるので介護は儲かる』という安易な発想で、不動産業者や地主、ひと山当てようというベンチャー企業など、介護とは縁のない様々な業種が大挙参入し、高齢者住宅の建設ラッシュが起きました。

しかし、こうした業者には介護事業の知識やノウハウがない。結果、質の高い職員が集まらず、それを見ている地域のケアマネも入居を勧めないので、入居率が低下する。

そこでさらにスタッフの人件費を圧縮しようとするので、職員が次々と辞めていく。すると、評判が落ちてさらに入居者が減少する。このような悪循環に陥り、倒産に至るケースが多いのです

倒産保全措置の確認

2006年4月以降に開設の届け出をした業者に対しては、厚労省が倒産時の保全措置を義務付けています。これは、老人ホームが倒産して入居一時金の未償却部分(入居期間が長くなるほど減っていく)を返還できなくなった場合でも、銀行や損害保険会社、公益社団法人全国有料老人ホーム協会等がその一部を保証する仕組み。

ただ、義務化以前に届け出をした事業者では、保全措置を取っていないところもあります。契約前に『もし倒産したら、どうなりますか』と訊ね、契約書を確認する必要があるでしょう」

ちなみに、協会に加盟せずに銀行などによる保全だけを行っている施設もあるが、民間の保全制度では、入居から年月が経ち、入居一時金が償却されてしまう(多くの場合、5年で完全償却)と戻ってくるカネはゼロになる場合が多い。一方、協会による保全は、入居している限り、500万円を上限に支払われます。(日本管理センター株式会社)

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)