ネット情報には魔物が住んでいる ~取引形態「仲介先物」表示案件は注意~

インターネット上で投資用不動産を紹介するサイトは幾つもあります。ほとんどのサイトは良心的な内容が掲載されています。ごくまれに、一部の業者ですが「存在しない物件」つまり「オトリ物件」が混じっている場合がありますので、注意が必要です。

不動産投資はからくりに満ちています。儲かるように見せかけることができるので、騙される人が後を絶たちません。当「サブリース問題解決センター」で、扱っているマンション投資事案の中でも、悪質な例として、業者が周到に描いたシナリオに従わさせられるパターンがあります。一度嵌れば抜け出せない状況に追い込まれ、売買契約を結んでしまいます。これは事件と呼べる類のものですが、残念ながら、この様な案件が頻発しています(後日その手口を公表致します)。

今回は「レインズ」(Real Estate Information Network System=不動産流通標準情報システム)の情報がどのように改ざんされるのかみてみたいと思います。

「レインズ」の情報を改ざんし、「オトリ物件」としてサイトで紹介

相場より売値がかなり安い、利回りがよくローンを組んでも返済が容易、立地がいいので転売するだけでも儲かりそうだ・・・掘り出し物に見えるそんな物件の多くの場合、購入できない「オトリ物件」です。

その他に時々見られるのが、専属契約が結ばれていて、物件紹介サイトに載せてはいけない物件の情報を、契約とは無関係の業者が勝手に載せてしまうケースです。

全国の不動産情報が登録・公開されている「レインズ」(Real Estate Information Network System=不動産流通標準情報システム、国土交通省が企画)などから情報を取り、同一物件だとわからないよう㎡数や部屋数を多少変えたりしています。

架空物件の目的は「オーナー情報の収集」

実際には存在しない物件なので、売買が成立することはありません。

実害がないと言えばそれまでですが、架空の情報を載せる業者が狙っているのは、その物件を餌に投資かから連絡が入った段階で得られる「オーナー情報」です。

連絡してきた投資家には「あの物件は決まってしまったが、他にも良い物件がある」とアピールし、他の商談につなげようとします。もちろん、信用できる相手だと判断できれば何の問題もありませんが、あまりインターネット上の情報を鵜呑みにしないよう、注意する必要があります。

取引形態「仲介先物」表示案件は気をつける

不動産広告には「取引態様」が記載されています。これは宅建業法でオーナーさんとの関係性を提示する決まりになっているからです。

取引形態には、次のように「貸主」「代理」「仲介元付」「仲介先物」という4つがあります。

貸主 貸主は言葉の通り、オーナーさんということです。
代理 オーナーより一任されている状態。サブリースなどが多いいようです。
仲介元付 オーナーさんより直接物件の募集をお願いされている仲介業者です。
仲介先物 「仲介元付」の不動産屋より広告を許可されている立場で、間接的な立場という状態です。

上記取引形態のうち、「仲介先物」という表示のところが、比較的「オトリ物件」の可能性が高いようです。

不動産の広告には厳しい規定がある

このように不動産の広告については、宅建業法で厳しく条件設定されています。さらに、不動産の表示に関する公正競争規約でも禁止されていますので、最後に紹介したいと思います。

事例として、「エイブル」がオトリ物件をインターネット上で掲載していたということで、2008年、公正取引委員会が景品表示法違反(オトリ広告・優良誤認)で排除命令が出ました。(参考:公正取引委員会「株式会社エイブルに対する排除命令について」)以下、日経BP社の2008年6月19日の記事を一部引用します。

不動産賃貸仲介大手のエイブルが、広告に実在しない物件やすでに入居者がいる物件を掲載し、築年数や交通の便などの条件を実際より良く表示したとして、公正取引委員会は6月18日、景品表示法違反(おとり広告/優良誤認)で同社に排除命令を出した。
公取委によると、不当表示があったのはエイブルのWebサイトや賃貸住宅情報サイト「CHINTAI NET」、および賃貸住宅情報誌「CHINTAI」。2007年3月―4月と5―6月に福岡県の博多店が扱うマンションの住戸として、存在しない物件の広告を出した。また2006年11月―2007年8月の期間に、東京都の秋津店など8店舗が扱う物件として、賃貸契約済みの物件、合計14件の広告を出していた。
これに加え、埼玉県の店舗で最寄り駅から物件まで徒歩でかかる時間を実際より短く記載したり、東京都の店舗で物件の築年数を実際より新しいと誤認させるような広告を出した。

(引用元:日経BP「不動産賃貸仲介のエイブルに排除命令、架空物件などの「おとり広告」で」)

本件について、記事の最後で「エイブルによると、原因はいずれも広告システムへ情報を入力する際のチェックミスと誤操作」と言われていますが、ミスにせよ故意にせよ、インターネットに掲載された情報の信憑性をはかる仕組みがまだ確立されていない以上、閲覧する側が注意するしかないというのが実情のようです。