サブリース業者からの中途解約の是非(2)~ 最高裁「衡平の見地」から制限を ~

国土交通省の調査によると、民間賃貸住宅の 8 割以上が個人経営であり、保有20戸以下の小規模家主が約 6 割であることもあり、約 8 割の家主が管理の全部・一部を業者に委託している状況です。

サブリース事業が賃貸住宅の供給・管理において重要な役割を果たしている一方で、首都圏近郊で、相続対策の影響もあり、一般的にみて需要が相対的の高くない地域での供給の割合が大きくなっている場合も見られます。

賃料減額あるいは中途解約のような問題については、サブリース事業自体に問題があり、それが必然的に問題を生じさせているというわけではないと思います。

資本と経営の分離

賃貸住宅におけるサブリース事業は、

  • 建設受注・管理一体型
  • 投資用マンション販売・管理一体型
  • 借上管理型

の 3 類型いずれも、土地所有者・賃貸人等の要請に応じた機能を果たしているものであり、適切な建設計画の下、賃料見直し等の条件(リスク)を十分説明し、契約するのであれば、それ自体で大きな問題は生じさせるものではありません。

リスクについて十分な説明が必要

賃料減額あるいは中途解約のようなトラブルにおいては、家賃収入が減額されるリスクについて十分な説明がされていないことが原因と思われ、賃料見直し等の条件(リスク)について十分な説明が必要であると考えられます。

建物が古くなったり、競合物件が乱立などして新規募集が困難になると、入居者募集のためとして家賃の切り下げを求められるようになり、さらには建物のメンテナンス費用、とりわけ10年後以降の大規模修繕費用がかさむなどして、高い家賃と入居率を前提にしていた収支計画は途端に行き詰まるようになります。

 

金融機関が、ほぼ形式的な手続きのみで融資を実行

建設資金を貸し付ける金融機関書面が規定通り揃っているか、借主である地主の資産状況や与信、前向きにアパート経営を始めようという地主の意思などを確認した後は、この30年間家賃が変わらないなどという前提で作られたアパート経営の収支計画に異論を挟むことなく融資を実行しています。

本来であれば、長期事業収支計画に対して年間数%程度の家賃下落や、大規模修繕費用等を折り込んでいなければなりません。そうでなければ、長期事業収支計画書についても指摘を行うべきです。金融機関が、ほぼ形式的な手続きのみで、積極的に融資を実行している現状が、被害を拡大させる一因になっていると言えます。

アパート経営、まずは立地から

建設受注のために、立地等からみても賃料収入による投資回収が困難なような計画に基づく事業の場合は、転貸借賃料収入が計画通り確保できず、結果として賃貸人の投資回収が困難となる大幅なサブリース賃料の減額をしなければならないような事態が生じています。建設計画等を含めた事業内容について、賃貸人、サブリース業者とも、十分留意する必要があると思われます。

最高裁「衡平の見地」、「当初予想収支」を損なわない程度

平成16年11月8日付最高裁におけるサブリース裁判のうち、滝井裁判官が補足意見として呈示した家賃減額は、「当初予想収支」を損なわない程度としました。サブリース業者が、賃料減額請求でなく、中途解約を行い、それが認められるとすると、賃貸人の投下資本の回収に支障を生じ、「衡平の見地」からの当事者間の利害調整が図られない結果になってしまいます。

この補足意見は、収支計画を尊重して、不況による融資利息と公租公課の軽減分程度の減額のみ認めています。

つまり賃貸人の当初予想していた利益が確保できる程度の賃料額まで保護するものとなっている点は、特筆すべきものがあります。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)