サブリース業者からの中途解約の是非(1)

(1)問題の所在

サブリース契約においては、中途解約特約を設けている場合が多いです。このような特約に基づきサブリース業者が中途解約をする場合には、賃貸人からの解約と異なり、正当事由が必要ないため、サブリース業者の意向によりサブリース契約を終了させることができます。

サブリース業者はこれを用いて、物件の入居状況が悪く、サブリースにかかる転貸料収入よりもオーナーに支払う賃料の方が多い逆ザヤの状態になった場合に、中途解約をすることが考えられます。

(2)本問に関する見解

この問題に関する裁判例は見当たりません。太田秀也氏は、以下のように述べています。

「このような場合にも、賃貸人の投下資本の回収への考慮という点から、最高裁サブリース判決の『衡平』の見地からの判断基準が適用され、『衡平の見地』からの判断を行うべきものと考えられる。賃料減額請求への判断との関係でみても、このような場合に、中途解約について『衡平』の見地からの制限が認められないとすると、賃料減額請求に一定の制限を認めた最高裁サブリース判決の意義がなくなる。すなわち、例えば仮に賃料減額請求が『衡平の見地』から認められないと認定されるような場合に、サブリース業者が、賃料減額請求でなく、中途解約を行い、それが認められるとすると、賃貸人の投下資本の回収に支障を生じ、『衡平の見地』からの当事者間の利害調整が図られない結果になってしまうからである」

太田秀也『賃貸住宅管理の法的課題〈2〉迷惑行為・自殺・サブリース

上記の考えに基づき太田氏は、最高裁判決を基にすれば中途解約が制限されるとする見解を示しています。

実務家も同様、以下のように述べています。

「不動産サブリース契約において、賃借人からの期間内特約条項が記載されている場合、同条項の合理的解釈、ないし、信義則の問題として、不動産サブリース契約の『衡平』論が考慮されるべきと考えられる。賃貸人の当初収支予測にあまりに反するサブリース業者の早期撤退は、同条項にかかわらず衡平の見地に照らし否定すべき場合があり得ると考えられる。たとえば、サブリース業者からの賃料減額請求を衡平の見地から実質的に制限し当初賃料がほぼ維持されたとしても、同業者が期間内解約条項を利用し撤退してしまうのであれば、結局、衡平を保たれない結果となる」

近畿弁護士会連合会・大阪弁護士会編『中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)

参考文献

太田秀也(2014)『賃貸住宅管理の法的課題〈2〉迷惑行為・自殺・サブリース』217頁

近畿弁護士会連合会・大阪弁護士会編(2012)『中小事業者の保護と消費者法―ドロップシッピング、提携リース、フランチャイズ、不動産サブリースをめぐって』228頁

(了)