「サブリース建物取扱主任者」資格創設の背景

平成25年の住宅・土地統計調査によれば、賃貸住宅の総数は2274万戸で、空き室は429万2300戸が空室で、空室率は実に18.9%にのぼる。ところが、その一方で賃貸住宅の着工数は、平成22年度から26年度までの5年間で、29.2万戸、29.0万戸、32.1万戸、37.0万戸、35.8万戸となっており、むしろ増加傾向にある。

持ち家の着工戸数が、平成25年度の35.3万戸から、平成26年度には27.8万戸と急激に減少しているのとは対照的だ。この背景には、相続税増税があるのは言う間でもないことだ。

同時にサブリースという有効な販売手法がある。なんと賃貸住宅供給の実に半分がサブリースなのである。
サブリースとは、賃貸住宅の建設業者(またはその関係会社)が、完成後の賃貸住宅を一括で借り上げて、入居率にかかわらず、賃料を保証する仕組み。このやり方であれば、賃貸オーナーが空室リスクを負うことがなくなり、空室率に関わらず、毎月決まった一定の収入を得ることができる。

自分でリスクを取るとしたら、地域の賃貸ニーズや相場を気にするのは当然だ。もし、ニーズがないと判断したら建てないと言う判断もあり得るが、リスクは取らなくて済むとなれば、安易に賃貸経営を始める土地所有者が出てくる。その結果、地域の賃貸マーケットに過剰な物件が出現、市場自体が崩壊する事態すら生じている。
サブリースでは、多くの賃貸オーナーは、営業マンが言うところの「30年間の長期保証」を、30年間、同じ額の家賃を保証してもらえるものと誤解していることが多いが、実際には建設当初の一定期間の賃料保証はするものの、その後は市場家賃の水準に合わせる契約となっているのが一般的だ。

そのため、10年間の保証期間が切れたところで、サブリース会社から一括借り上げ賃料の値下げの通告を受けて、はじめて30年間保証してくれるわけではなかったことに気づく。

だが、ほとんどの賃貸オーナーは節税目的で、全額借入れでアパートを建設していることが多く、一括借上げの賃料額が金融機関への借入金返済額を下回るような事態になると、打つ手がない。破綻へまっしぐらである。これが所謂「サブリース問題」だ。

厳しいことを言えば、サブリースの仕組み自体は契約書にきちんと書かれており、それを読みもせずに契約してしまった以上、その結果は自己責任である。サブリースだから安心とアパート建設を勧める営業マンの中には誤解を招くような説明をしているケースも少なくないが、残念ながら賃貸オーナーは事業者であり、消費者保護法で守られることはなく、すべて自己責任なのだ。サブリースには大きなメリットもあるが、無責任に勧められるままの利用ではデメリットもある。

賃貸住宅従事者を、JROが国土交通省「賃貸住宅管理業者登録規定」及び準則を遵守し、適切な営業活動をする資格者の証として、「サブリース建物取扱主任者」を認定する。コンプライアンス重視する営業方法こそが、健全な賃貸住宅事業の発展に繋がるものと考える。

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参考:試験用教科書目次一覧

1 サブリースとは ~民法・借地借家法との関わり~

(1) サブリースとは
(2) 典型的なサブリース契約
(3) 分類
(4) サブリースの発端
(5) 賃料の決め方
(6) 適用法令

2 サブリースの歴史

(1) 創成期
(2) バブル崩壊~賃料減額請求の争いへ
(3) 最高裁平成15年判決へ
(4) 最近の紛争

3 賃料減額請求の争い ~最高裁判例の解説~

(1) 問題の所在
(2) 平成15年・平成16年最高裁判例
(3) サブリース業者からの中途解約の是非

第2章 サブリースの実務ポイント

1 サブリースの確認ポイント

(1) オーナーが不動産会社から受取る「保証賃料」
(2) 「一括借り上げ」大手不動産業者による「一括借り上げ」の仕組みができた経緯

(3) サブリースのメリットと問題点
(4) サブリースの現状

2 金融機関から見たリスクマネジメント

(1) 与信管理4+1のポイント

3 適切な長期事業収支計画の作成方法

(1) 利益とキャッシュの違い
(2) 収益性の検証
(3) 事業性の妥当性の検証
(4) 具体的事例

第3章 サブリース契約書のポイント

1 サブリース契約書のポイント
2 サブリース契約書の注意点

第4章 サブリース契約事例(相談案件)紹介

1 トラブル事例紹介
2 論点の整理

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大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)