サブリース家賃減額請求トラブルの解決には「調停」を(6)~ 適正な賃貸料の設定 ~

サブリース家賃減額請求にて、物件の適正な賃貸料というのが重要な要素となります。今回は賃貸料の設定方法について説明します。

1.利回り法

家主の経営が健全に成り立つように、利回りや希望額から適切な賃貸料を考えます。

対象となる建物と敷地の価格に期待利回りを乗じた純賃料に、公租公課や管理費や修繕費・減価償却費等の必要経費を加算する方法です。

具体的な計算式は、以下のようになります。

  1.  ローンの返済額など諸経費を計算。
    (建築費×利回り+年間の諸経費)÷12ヵ月÷戸数=賃貸料平均額
  2.  利回りや利益の希望額から目安となる賃貸料を計算する。
    (利益の希望額+年間の諸経費)÷12ヵ月÷戸数=賃貸料平均額

なお、賃貸料は平均額のため、目安でしかありません。従って、各部屋ごとに個別に賃貸料を設定していくことになります。

2.借地借家法から

借地借家法第32条1項は次の要素を基準としています。

  1. 土地、建物に対する租税、負担の増減
    例えば、土地、建物への固定資産税、都市計画税、維持修繕費、減価償却費、損害保険料、管理費等の必要経費の増加等。
  2. 土地、建物の価格の上昇、低下
  3. その他の経済事情の変動
    例えば、消費者物価指数、賃金指数、国民所得等。
  4.  近傍同種の建物の借賃との比較
    • 対象地域の特性
    • 対象建物の特性
    • 契約期間
    • 継続賃料と新規賃料との相違
    • 権利金や保証金の多寡等を考慮
      (テナントにおいては、ビルのグレードや大小、築年数、使用面積、1階か、店舗か事務所か等も考慮)

3.理論上の算出方法(まとめ)

  1. 利回り法
    対象となる建物と敷地の価格に期待利回りを乗じた純賃料に、公租公課や管理費や修繕費・減価償却費等の必要経費を加算。
  2. スライド法
    従前の純賃料を基準に、その後の消費者物価指数や地価指数、家賃の変動指数等の経済変動率を乗じた額に、改定時の必要諸経費を加算。
  3. 賃貸事例比較法
    近隣の家賃相場を基準として、個別要因による事情補正と時点修正を行い算出。
  4. 差額配分法
    対象となる建物、敷地の価格に即応した適正家賃と現実の家賃との差額について、契約内容や経緯等を総合的に判断して、家主に帰属すべき利益を判断してこれを加算。
  5. 収益分析法
    対象とされる建物、敷地の価格から期待される純収益に、必要諸経費等を加算。

4.判例における算出方法

過去の裁判例においては、裁判所選任の不動産鑑定士の鑑定に依拠しつつ、上記算出方法のいずれか一つの方法にかたよらずに、賃貸事例比較法や利回り法、スライド法等の複数の方法を総合的に考慮に入れるいわゆる「総合方式」によって適正賃料を定めています。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)