サブリース制度 とは(1)

サブリースとは

サブリースとは大型の物件を一括賃借し(マスターリースともいう)、それを分割またはそのままの規模で第三者に転貸する事業形態です。物件の所有者が運用ノウハウ、運用体制をもたない場合などに、サブリーサーに運営代行をフィーを支払って委託し、サブリーサーは自社の持つノウハウ、人員を用いて物件を円滑に運営することです。

一括借上

一括借上とは、不動産会社が大家(個人オーナー)から土地・建物・付帯施設をサブリースで借り上げ、運営・管理を一気に引き受ける賃貸システムです。

オーナーが賃貸物件を営む場合、収益は入居している部屋の分の家賃しか入らないため、空き物件が多かったり家賃滞納が多いと経営がおぼつかなくなってしいます。また、賃借人に対してのトラブルや対応なども行なわなければならず、管理面についても煩わしさがきます。一方、不動産会社も独自に賃貸物件を建てる場合、土地を購入した上で物件を建てなければならないため土地購入や建物建設・資産税などの税金など多額の費用がかります。そこで、オーナーが不動産会社に土地や建物などを託して管理を行ってもらうとともに、不動産会社から一定の保証金(賃料の80% – 90%程度)を得るという仕組みが出来あがりました。つまり、オーナーには後述のようなメリットがあり、不動産会社は土地購入や建物建設などの負担が軽減されるわけです。

大手不動産会社のほとんどが、このシステムを導入しています。

オーナーにおけるメリット

  • 不動産会社が一括管理してくれるため、知識がなくとも賃貸物件を建てる事ができる。
  • 賃借人に対しての対応は全て不動産会社が行なうため、オーナーが対応しなくてもよい。
  • 空室があっても空室分も保証され、オーナーに支払われる。

賃借人の原状回復は不動産会社または提携・管轄する管理会社側が責任を持つ。

一括借上における問題点

  • 一括借り上げの条件として不動産会社が指定した建物を建築する必要がある。
  • 建物管理、修繕などについて不動産会社が指定した業者、仕様となる場合がある。
  • 転借人の審査は不動産会社が行うため、外国人など生活習慣の違う賃借人が入居すると地域住民とトラブルとなる場合がある。
  • 賃料は必ずしも長期間一定ではない。

オーナーが不動産会社から受け取る金額は賃借人が支払った賃料から不動産会社の手数料、管理費などを差し引いた金額を保証賃料として、一定金額を支います。 また、建物が竣工して引き渡された当初の2 – 3か月間は家賃収入が不安定であることから募集期間とされ、この期間内はオーナーに対して保証賃料が支払われません。

不動産会社の中では、「家賃10年保証」など賃料が長期にわたり固定されると謳われている場合がありますが、周辺環境、経済環境の変化などを理由として不動産会社、オーナー双方、賃料の減額、増額を要求することがでます。これは借地借家法32条1項に定められており、最高裁判例(金融法務事情1700-88、2003年10月21日判決)でも示されているものの、現実的には値上げ、値下げともによほど大規模の物件でない限り裁判の費用対効果を考慮すると双方にメリットが無く、貸主、借主協議の上で据え置きとなるケースも多いようです。

サブリース保証賃料でも賃料減額請求可との最高裁判決

サブリース保証賃料でも賃料減額請求可との最高裁判決 (バードレポート第469号2003年10月27日より)

住友不動産は旺文社関連会社のセンチュリータワー(東京都文京区)にサブリースによる土地活用を提案します。センチュリータワーは住友不動産からの敷金50億円と銀行借入180億円とでビルを建築し住友不動産に平成3年賃貸します。契約期間は15年で中途解約不可。家賃は年20億円で3年ごと10%値上げ、値上げ率は協議で変更可ですが、値下げの定めはありません。

オフィス賃料市場はガタガタになり、住友不動産は借地借家法32条1項に基づく賃料減額請求をします。これは経済情勢が変ったなら契約条件にかかわらず賃料減額請求できるという強行規定。賃貸借契約書に値下げの定めがないのでこの強行規定による減額請求です。平成6年4月には14億円へ、同11月には9億円へ、平成9年3月には8億円へ、平成11年3月には5億円へと、それぞれ減額請求を続けます。これが裁判となりこの10月21日に最高裁の判断がなされました。

サブリース契約と賃貸借契約

「サブリース契約であっても借地借家法32条の賃料減額請求ができるのか?」

建物賃貸借契約ならば「賃料は値下げせず」との定めでも賃料減額請求ができます。

そこで「このようなサブリース契約の本質は、自ら住むためのアパート賃貸等とは違い、家賃保証というリスクを取って収益を得ようとする事業上の契約であって賃貸借契約ではない。だから借地借家法の適用はないので賃料減額請求権はなく賃料引下げはない」と議論されます。

最高裁は、たとえサブリース契約であっても、それが建物賃貸借契約である限りは、借地借家法32条1項の賃料減額請求が可能だと判断しました。ただし家賃をどこまで引き下げるかについては、借入金返済事情その他様々な事情を考慮しなくてはいけないと判じました。

具体的な賃料については高裁に差し戻され判断がなされます。

この同年10月21日には同趣旨の最高裁判決がもう一件でています。やはり住友不動産が借主で当初賃料年間18億円の賃貸ビルについてで、全く同じ結論の判決です。こちらの契約書には「いかなる場合も直近一年の賃料を下回らない」という明確に家賃値下げ不可との定めがありましたが、それでも結論は同じです。

相手が個人地主でも同じ結論

この二件の最高裁判決は新聞にも載り注目を浴びましたが、その2日後の10月23日に最高裁で別の判決がでています。

前二件の判決はいわば大企業間の争いでしたが、こちらは個人地主対大企業です。判決は個人の地主であっても、同じ結論になりました。

東京都目黒区の個人地主が三井不動産との共同事業でビルを建築します。借地人借家人立退きや隣接地買収まで含む三井不動産主導による共同事業だったようで、地主は金利年6%10年固定で11億円の融資を受けることにまでして事業をすすめます。

ここでのサブリース契約は個人地主が取得したビルの区分所有部分を三井不動産が平成7年3月から10年間を月1064万円保証で借り上げるというものです。

地主は940万円までの値下げなら認めるとの妥協案をだしますがそれ以上は応じません。

三井不動産は平成7年11月に家賃を509万円へとの賃料減額請求を行います。ただし減額請求の後も平成14年までずっと月940万円を支払い続けます(地主の資金繰りを考慮したのか?)。

そして裁判。地主側は賃料減額請求は認められないとして1064万円の家賃の確認を求め、三井不動産は減額請求後の509万円だとし、過払い金額の返還を求めます。

最高裁の判断は前二件と全く同じ。解約不可のサブリース契約であっても賃料減額請求は可能、ただし減額後の賃料決定には様々な事情を考慮しろとして、差し戻しです。個人地主だからといっても同じ結論です。

※現在では定期借家契約活用で賃料減額請求を排除できます。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)