サブリースマンション投資「所得税還付商法」は公序良俗に反する!?(1)~「所得税還付」「赤字推奨商法」前面に押し出し積極営業 ~

「マンション経営で節税を」「税金の還付がある」と、投資用マンションの販売などで、高額所得者を狙い業者より執拗な勧誘を受けたなどの苦情・相談が増えています。

当センターで取扱っている事案でもありますが、「デート商法」と並び、この「所得税還付商法」はあまりにも悪質であるため、投資家に警鐘をならしておきます。

25年前のバブル時代の繰り返し

この商法は、公序良俗に反し、企業のCSR(企業の社会的責任)が問われるものです。社会課題を解決するような商品やサービスを生み出すことで多くの人に喜びをもたらすものとは真逆といえます。これでは、まるで25年前のバブル時代の繰り返しです。バブルを経験した私たちは、その失敗の教訓を生かすべきです。

事例:どの様に接触し、どの様に展開し、どの様な結果になるのか

  • 高額所得者名簿、医師名簿等の名簿を使い接触(特に勤務医をターゲットにしている)。
  • 病院組織に一端入り込むと、同僚や部下等に「所得税還付」紹介ビジネスを展開。
  • 同僚や部下等に投資物件販売会社に紹介し、契約が成立したらその不動産会社からマージンをもらうという仕組み。
  • 所得税還付商法」は、つまり「赤字を生み出す事」商法であるため、購入者は、マンション購入価格や借入金利等は、ほぼ無関心である。つまり相場より高い物件、高い金利となっている。当然、いざ物件を売ろうにも売れないことになる。
  • 業者紹介の三流地銀・ノンバンクを利用し、ほぼ自己資金なしの、100%融資を受けている。結果、自己資金なしと言う事で、マンション投資物件を1勤務医が5~8戸(1R)を購入した例もある。
  • 所得税還付商法」の売込みであるため、当初は、家賃収入より銀行借入支払い多くなっても深刻に考えない
  • サブリース〔一括借上げ〕であることも購入動機である。ただ、これら多くの投資物件販売会社は、サブリース(一括借上げ)と口頭で説明しながらも、実際は通常の『賃貸管理委託契約』である場合が多い。つまり、借主である投資物件販売会社からの契約解除はいつでも可能である。これは一種の詐欺商法である。たとえ「一括借上げ」型であっても、数年後には家賃減額交渉となるか、倒産している可能性もある。
  • 物件を見ないまま購入する人も少なくない。
  • 家族に内緒の場合が多く独断専行で行なっている。
  • 現在、投資物件の販売の多くは、中古物件が多く、償却期間は短期間で終わる(例:木造築 19年の場合6年で償却)。
  • 毎月のローンの返済、原状回復費用・設備補修の負担等で、現金ショートが発生するなどで、生活費の圧迫が起きる。
  • 家庭不和となる。

高い給与所得を得ている人は、所得税や住民税を支払うことに抵抗がある人も多く、そうした利己心を煽るのも、業者の手口の1つとなっています。

参考:名刺から業者を見分ける方法
マンション購入時、業者から名刺を渡されると思いますが、その時、チェックして欲しいのが、次のような免許番号です。
「東京都知事(1)第○○○○○号」
新規で免許を受けたばかりの業者は必ず(1)となります。以降、5年が経過するごとに免許が更新されると一つずつ番号が増えていきます(開業6年目の場合は(2)、11年目の場合は(3))。
大手ハウスメーカーではなく、あまり名の知らない業者と取引をする場合、この免許番号でその業者の信用度を目安にすることも必要です。

契約の締結ルールの確認

宅地建物取引業法(以下、「法」という)では、宅地建物取引業者に対し、契約の締結の勧誘をするに際して、以下の様な行為は違反行為となります(国交省「国土交通省から消費者の皆さんへのお知らせ・注意喚起(マンションの悪質勧誘・訪問、アンケート調査等)」)。

〔1〕不確実な将来利益の断定的判断を提供する行為(法第47条の2第1項)
〔2〕威迫する行為(法第47条の2第2項)
〔3〕私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させる行為(法施行規則第16条の12第1号のヘ)
〔4〕勧誘に先立って宅地建物取引業者の商号又は名称、勧誘を行う者の氏名、勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行う行為(法施行規則第16条の12第1号のハ)
〔5〕相手方が契約を締結しない旨の意思(勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、勧誘を継続する行為(法施行規則第16条の12第1号の二)
〔6〕迷惑を覚えさせるような時間の電話又は訪問する行為(法施行規則第16条の12第1号のホ)

「不動産投資が『節税』になる」というのは本当か

確かに、源泉徴収で自動的に所得税が差し引かれるサラリーマンであっても、不動産運営に関わる費用を経費として計上することは可能です。

しかし、収入を上げるために行う不動産投資を行うにもかかわらず、税金の支払い額を減らすことが目的というのは、本来の投資とは言えません。

減価償却費が節税効果につながる!?

「新築物件」購入の場合の減価償却費

「新築物件」を購入した初年度の、不動産投資による節税効果で関係するのは、次のような項目です。

  • 登録免許税
  • 不動産取得税が経費として計上
  • 固定資産税
  • 借入金利
  • 減価償却費
  • 修繕費や管理費
  • 火災保険料
  • 投資のために発生した交通費

これらの項目は、経費として計上することが可能となります。

このうち、初年度以降も大きな割合を占めているのが、建物の減価償却費です。代表的な新築物件の耐用年数は以下のようになります。

  • 鉄筋コンクリート構造で47年間
  • 重量鉄骨造で34年間
  • 木造で22年間

ここで、定められた償却率で、6000万円の物件を購入した場合の減価償却費を計算してみます。

鉄筋コンクリート構造の場合

6000万円 × 償却率0.022 = 減価償却費132万円/年

重量鉄骨造の場合

6000万円 × 償却率0.030 = 減価償却費180万円/年

木造の場合

6000万円 × 償却率0.046 = 減価償却費276万円/年

新築物件でこれだけの額を経費として申請できるなら、初期段階では節税対策として有効といえます。

「中古物件」購入の場合の減価償却費

「新築物件」に比べて「中古物件」の耐用年数の償却期間はとても短くなります。例えば木造築ですと、次のようになります。

  • 木造築19年の場合 6年で償却
  • 木造築 30年の場合4年で償却

現在、投資物件の販売は中古物件が多いのですが、上記のように、償却期間は短期間で終わってしまうことから、節税効果は薄いことがわかります。

節税対策として不動産投資を行うことは間違い。未来永劫続かない

減価償却費などによって発生する経費は大きいですが、それ以上の家賃収入がなければ、一般のサラリーマンが投資をするメリットはそもそもありません。

いまから25年程前のバブル時代は、節税や値上がりを目的にした不動産投資ばかりがもてはやされましたが、当時のバブル時代の戦士は、その後どうなったでしょうか。

いまでも多額の借金を抱えている方や、多額の損を出して物件を手放した方、節税目的の不動産投資をしたせいで一家が離散してしまった方、そんな悲劇的なことも実際に起きましたし、同じように現在も起きています。歴史は繰り返す・・ですね。

不動産投資の目的は決して節税や値上がり益を目的にしたものではなく、長期安定収入を得ることです。節税効果を得るためだけに不動産投資をするようになると、冒頭でお話ししたように、物件選びもおのずと本筋から離れてきてしまいます

投資商品の本質は収益力

不動産を購入するということは、資産リスクを抱え込むということでもあります。納めるべき税額を減らすことよりも、それ以上に重要なことは、資産リスクを上回る形で、稼ぐ力が高い不動産を購入するということです。

節税目的で不動産を購入することは、根本的に間違っているということを認識して下さい。上記で説明したように、減価償却は副次的な効果にすぎないのです。

未来永劫、節税効果が続くわけではありません。節税効果が尽きるときは必ず来ます

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)