サブリース「建設受注・管理一体型」企業は、そもそも一体不可分 ~ 家賃減額は、転貸事業損失引当金として計上を ~

当センターに寄せられるサブリース相談で最も多いのが、契約更新時の減額請求です。オーナー様は、ハウスメーカーから提示された「長期事業収支計画書」を元に契約を結ぶわけですが、契約更新時には「周囲の家賃相場に合わせて、家賃も下げないと空室は埋まらない、ついては月々の支払いも減額して欲しい」といった減額請求がなされ、「計画書」を信じて契約を結んだオーナー様は先行きにとても不安を感じられています。

そもそも実現不可能な計画書が提示されること自体問題ですが、諸事情による経営トラブルに備えながら、その計画書をきちんと実行することも、企業側の責任ではないかと考えます。

今回は、建築受注とサブリース管理の両者を行う企業において、そういった責任をどのように果たすべきか、考えてみます。

「建設受注・管理一体型」企業は「長期事業収支計画書」の実行を保証すべき

『建設受注・管理一体型』企業、つまり建築業者とサブリース管理会社は、そもそも一体不可分であり、オーナーは、建物請負契約締結後、ほぼ例外なく子会社(100%出資のサブリース管理会社)と賃貸借契約を結んでいます。

オーナー契約判断の基礎資料は「建設受注・管理一体型」建築請負業者作成の「長期事業収支計画書」です。『建設受注・管理一体型』企業である以上、賃貸借契約当事者の「サブリース管理会社」も一体不可分である故、この「計画書」の実行を保証すべきと考えます。

これは、最高裁「衡平の見地」から「当初予想収支」を尊重し、損なわない程度とする平成16年11月8日付最高裁におけるサブリース裁判のうち、滝井裁判官が補足意見として呈示した「家賃減額は、当初予想収支を損なわない程度」としたものとは、具体的には、建築請負契約時提出の「計画書」にサブリース管理会社が連名で記名することでもあろうと考察されます。これは正に補足意見で呈示された内容に沿うものです。

家賃減額は、転貸事業損失引当金として計上を

借上管理型サブリースについては、逆ザヤによる転貸損失について翌期以降の損失見込額を転貸事業損失引当金として計上している事例や、賃料減額訴訟の和解により未払計上額と和解による支払額の差額を戻入益として計上している事例も見られます。

引当金となる原資としての粗利益は

『建設受注・管理一体型』企業での建築業粗利を、サブリース率100%のレオパレス21の例から見てみます。(平成29年3月期決算 P11より引用)

上記「建築請負」項目で、2017年3期で見てみると、売上げ総利益(=粗利)は、29.1%と、約3割近い割合となっています。例えば1億円のアパート建築工事では、おおよそ3千万円の粗利が確保されるわけです。

ちなみに「建設業の経営分析(平成26年度)」(概要版P13)によると、建築売上げ企業平均粗利は17.32%となっています。レオパレス21の粗利は、平均よりも1割以上高いことがわかります。

要するに、レオパレス21においては、建築を請け負った時点で、建築企業平均粗利以上の粗利が確保されていることがわかります。

この一部を「引当金」として計上してトラブルの解決に備えておくと言う事が可能と考えられ、一体不可分の企業グループとしての責任ではないかと思います。

契約上想定できなかった経済環境の悪化などを根拠にオーナーと賃料減額交渉をしなければならない場合に、「衡平の見地」からこの一部を家賃補填として転貸事業損失引当金から当てることで、双方の歩み寄りが図れるのではないでしょうか。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)

「引当金」とは(Wikipediaより)

引当金は、将来において費用又は損失が発生することが見込まれる場合に、当期に帰属する金額を当期の費用又は損失として処理し、それに対応する残高を貸借対照表の負債の部(又は資産の部のマイナス)に計上するものです。