オーナーの不動産投資全般をカバーするプロパティマネジメント ~管理会社の理想とは~

管理会社の守備範囲は、投資用不動産の管理運営に限られていました。1棟ごとにオーナーと契約を結び、集金などの入居者対応と清掃やメンテナンスなどの物件の維持管理を行なうのが管理会社だったのです。

今回は、そういった管理会社の体質と、今後求められる管理会社の姿勢について考えてみます。

市場競争が働かない業界

日本の主だった多くの管理会社は、系列による受託を頼りに運営を続けています。

  1. 「建設受注・管理一体型」企業では、親会社からの供給、すなわち系列による受託という構造がスタンダードとなっており、純然たる市場競争が行なわれにくい環境です。
  2. このモデルとして、入居斡旋、清掃や設備のメンテナンスといった契約で決まった内容を淡々とこなすだけで、極めて労働集約的かつ差別化がされにくい業界です。

「守備範囲は入居者対応と建物の維持管理だけ」という考えを変えられない管理会社もまだまだ数多くあります。多くの管理会社は、競合他社にとって替わられる危機感を持たずに仕事を続けているのが実情のようです。どうも、実質的な競争制限が業界内で発生しており、競争原理が働く、そのような状態には至っていないと思われます。

また、新規参入が非常に難しい業界でもあり、既存の市場では棲み分けが出来ていて、ある意味ぬるま湯的な体質ということもあります。

この様な、特殊な競争環境による弊害として新たなイノベーションやサービスが生まれにくいという弱みも、これまで指摘され続けてきました。

オーナーの資産形成の為の専門知識が必要

近年、不動産投資を巡る状況が変わる中、期待される業務の内容が変わりつつあります。不動産投資の持つ金融的な側面は複雑になり、繊細な舵とりなしでは失敗する危険性が高まってきました。

そういった状況の中、管理会社に対しても、従前から提供されてきたサービス業としての業務に加え、金融的な面においても専門的な知識や判断が求められるようになってきています。

投資としての不動産運用はますます増えると思われ、オーナーが資産を形成するための専門知識は必須となるでしょう。

人材育成、組織等のマネジメントモデルの構築

オーナーの資産形成をサポートする管理会社には、次のような視点をもって、オーナーとパートナー関係を築くことが求められます。

  • リスクと利益のバランスをどうとりたいのか?
  • 将来的にはどんな資産形成を望むのか?

オーナーの希望を汲み取り、同じ目的に向かって進むパートナーになれる管理会社が最近では理想とされており、投資顧問としての性格を持つ管理会社が増えつつあります。

総合的に不動産の価値を高めるプロパティマネジメント

今後さらに進み、オーナーの不動産投資全般をカバーするプロパティマネジメントを担うのが、管理会社の理想とされるでしょう。

たとえば、設備が古くなった際、従前からの管理会社は「修繕しよう」あるいは「新しく入れ替えなければ」と考えるだけです。建物の維持管理という面からのみ判断すれば、正しい選択と言えます。

一方、プロパティマネジメントを手がける管理会社にとっては、オーナーの指示に従って修繕や入れ替えをすることは、仕事の一部にすぎませんので、次のような思考が働きます。

  • 本当に収益に繋がる修繕や入れ替えなのか?
  • 適した時期はいつで、投資効率がもっとも高い規模はどのようなものなのか?

さまざまなことを考え合わせ、精密な答えを出し、実行できるのが新しい管理会社の特徴と言えます。

不動産投資で収益を上げることが難しくなる中、綿密なパートナーになれる管理会社の存在意義はとても大きいのですが、しかしながら、まだまだオーナーとの新しい関係をイメージする管理会社は少数派にとどまっています。

「総合的に不動産の価値を高める施策を創造し提案できる」その様な管理会社が求められています。

参考: