【投資マンション購入】不動産投資の流れ(3)~銀行の融資基準とは 収益還元評価・積算評価方式 ~

フルローンであろうが、オーバーローンであろうが、銀行から融資を受けるには、相当額の担保が必要になります。物件の担保評価は、主に積算評価法(原価法)を用いて算出されます。

そのため積算評価の高い高利回りの物件ほど、融資がでやすいと考えている人も多くいます。たしかに、数年前までは、積算重視でどんどん物件を買えた時期もありました。

しかし銀行によっては、積算ではなく収益還元法を採用しているところもあります。特に投資マンションでは、サブリース制度を前提とした収益還元法を採用している地銀・ノンバンクが増えています。

そこで、今回はこの収益還元法と積算評価法(原価法)について、見てみたいと思います。

収益還元法評価とは

対象となる不動産物件が生み出す収益性からその不動産投資物件の価値を査定する方法です。新築や築年数が浅い物件に評価が出やすくなります。

この収益還元法評価で公的で代表的なのが、住宅金融支援機構の「まちづくり融資制度」(長期事業資金)です。

以下は、住宅金融支援機構のホームページに記載されている利用条件をまとめたものです。(参考:住宅金融支援機構「まちづくり融資」

「まちづくり融資制度」の利用条件

  • 賃貸住宅などを返済期間を通じて適切に経営し、確実な返済が見込まれる方
  • 融資実行後35年以内(1年単位)
  • 対象事業費の100%
  • 担保:建物および土地の評価、収支計画などを審査した結果、融資の対象となる建物および土地以外に担保を提供していただく場合があります。
  • 十分な保証能力がある法人または個人(申込人が法人の場合における当該法人の経営者に限ります。)の連帯保証人をつけていただく必要があります。(
    法人を連帯保証人とされる場合は、保証能力のある法人のほか、お申込みの時点で機構が承認している保証機関の保証をご利用いただけます(保証機関の保証をご利用の場合は、別途保証料が必要です。また、保証機関による審査の結果、ご利用いただけない場合があります。)。

そもそも設定家賃が、近隣相場に比べ3~4割上乗

収益還元法評価では、「収支計画」が大変重要視されます。(参考:当センター記事「住宅金融支援機構 賃貸住宅ローン100%融資の問題点 」)

当センターの相談事例から判断すると、建築業者が収支表を作成する際、基本となるのは設定家賃のようです。扱った事例では、その設定家賃が近隣相場の3~4割程度上乗せされており、「収支計画」の信頼性に疑問が生じます。

また、収支計画重視ですから、それほど担保にはこだわっていないようです。

保証機関の保証をつけることが条件ですが、当センターの事例を見る限り、将来の行き詰まりが「予見」できるので、借入には慎重さが必要です。

誰の為の収支計画書なのか

建築会社作成の収支計画は、オーナーの為の事業〔経営〕収支計画ではなく、融資の為の単なる辻褄合わせと呼べるものです。当然信頼度は欠けます。

また、金融機関の収益還元法評価審査が、非常に甘く、10年後以降の家賃減額等の経営動向をほぼ無視しており、借入は出来たものの、経営に行き詰まり、多くのオーナーの苦しむ姿を見てきました。

オーナーを無視した、建設会社と金融機関の持ちつ持たれつの関係であると言わざるを得ません。

積算評価(原価法)とは

算出方法としては、土地の価格と建物の価格を算出し、その合計金額に安全割合である掛目をかけて算出します。

標準的な目安となるのが、次の式です。

  • 土地評価=土地面積x路線価
  • 建物評価=再調達価格x建物面積x(法定耐用年数ー経過年数)/法定耐用年数

積算評価をもっと簡単に言うと、仮にもしデフォルト(債務不履行)して担保として取った場合、任売で「いったいいくらになるの?」と言う事になります。(ただ、競売になってしまうと、元も子もありませんが・・・)

ただし、両方を見る場合でも、積算評価をより重視するのか、収益還元評価をより重視するのかは、銀行によってまったく変わってくるのです。

結局のところ、担保評価は市場に左右されてしまう部分も大きく、今の市場でみると、首都圏で積算が出る物件はほとんどありません。地方に行けば積算の高い物件があるかもしれませんが、投資として見た時にその物件が良いか悪いかは別の話です。

銀行の融資期間

日本の建物には法定耐用年数というものがあります。銀行の融資期間は、法定耐用年数から築年数を引いた年数で決まっています。

法定耐用年数(参考:国税庁「耐用年数(建物・建物付属設備)」)

軽量鉄骨造( 19年
木造 22年
鉄骨造(骨格材の厚さによって違う) 27年~34年
鉄筋コンクリート(RC)造 47年

軽量鉄骨造とは、鉄骨造の一種で、骨格材の肉薄鉄骨で厚みが3mm以下の建築物が該当します。鉄骨が薄いので安価に建築できますが、高層の建物は不可です。

ここでいう耐用年数という言葉は、「建物の寿命」のような印象を持ってしまいがちですが、実は全く関係ありません。あくまでも耐用年数とは、税務上で定められた減価償却用の数字に過ぎないのです。

築30年のRC物件を購入の場合

RC造のマンションがお勧めだとよく言われますが、その最大の理由は、法定耐用年数が長いため、金融機関から融資を引き出しやすいという点です。

例えば、築30年の古いRC(鉄筋コンクリート造)物件でも、法定耐用年数が47年ですから、残りの耐用年数は17年になります。

確かに融資機関が17年で組むことは出来ますが、月々の返済金額が大きくなり、キャッシュフローが出にくくなります。

銀行としては融資金額を下げざるを得ないと判断し、その差額分は自己資金でカバーするという形になってしまいます。いくら積算の出る高利回り物件であっても、投資として収支が合わなければ意味がありません。

また、銀行によって物件の評価の仕方も異なります。大きな違いとしては、積算評価か収益還元法か、そしてローンの年数は、耐用年数から築年数を引いた残存年数なのか、残存年数にプラスしてローンの年数を組めるかどうかです。

例えば、A銀行では収益還元法での評価を主に使い、耐用年数でのローン年数であるので、新築や築年数が浅い物件に評価が出ます。

逆にB銀行の場合、積算評価で物件評価が出ます。耐用年数の残存年数にプラスしてローン年数を延ばせるので、地方の中古RCに評価が出やすかったりします。

このように、それぞれ銀行によって物件に対する評価基準が違うのです。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)