【レオパレス21問題】いわゆる「終了プロジェクト」(2011年)前のレオパレス21とは ~ 自ら招いた経営の失敗に耐えられず。2011年8月の「終了プロジェクト」に繋がる ~

2017年末のテレビ東京「ガイアの夜明け 追跡!マネーの”魔力”」放送中、当センターが2011年に入手した「終了プロジェクト」内部メールが紹介されましたが、その詳細については「『レオパレス21問題』で浮き彫り!サブリース問題の発端とリスク」で報告させていただきました。

では「終了プロジェクト」以前、レオパレス21はどうだったのでしょうか。

今回の記事は、2008年(平成20年)、海外ファンド「KYLIN MANAGEMENT LLC」(New York)から受けた質問への回答を参考に作成しています。

レオパレス21の会社概要

レオパレス21は、東京都中野区にある大手不動産会社。設立は1973年です。

この当時は「株式会社ミヤマ」としてスタートし、首都圏で不動産の仲介業を行っていましたが、1985年から敷金無料型(!?)と言う賃貸マンションの「レオパレス21」事業を開始してから飛躍的な展開を見せるようになりました。

1989年に社名を「株式会社MDI(エム・ディー・アイ)」に変更。またグアム島に滞在型リゾート施設「レオパレスリゾート・グアム」を開設し、レジャー事業に進出しました。

2000年に賃貸マンションブランドと同じ「レオパレス21」に社名を再変更。2001年から「マンスリーレオパレス」(マンスリーマンション)事業を開始。その他各地にホテル・リゾート施設、介護老人ホームなどを展開しています。

近年(2008年当時)は藤原紀香を企業キャラクターに迎えたコマーシャル展開を実施しています。ただ、海外リゾ-ト損失3000億の返済(平成1~2年現在)が重荷になっているようです。

レオパレス21のビジネスモデルとは

レオパレス21のサブリースビジネスモデルとしては、遊休地を持つオーナーに、土地有効活用としてアパートを提案し、建築費・管理費などを得るという商法です。

ただ、ユニークなのは建築した物件のターゲットを一般の中長期入居者ではなく、ウイークリーやマンスリーという短期貸しに比重を置いているということです。

現行(2008年当時)では最高の相続税対策と説得

建物は新築であっても竣工した瞬間、実際に建築にかかった金額の8掛け程度に評価が下がります。

さらに毎年減価償却するため、その分を経費計上できるのと、土地同様に賃貸ということで借家権割合の分、相続税評価額を下げることができるという利点があります。

借金をして賃貸住宅を建築すると、その負債は相続税対象資産と相殺できるため、賃貸住宅の建築は現行の法律・制度の下においては、最高の相続税対策といわれているわけです。

アパートオーナーは建物の質には無関心

要するに、供給側も自分の節税の目的が達成されればそれで良し、使い手のクオリティーへの要求水準も甚だ低いのです。安普請との評価に繋がるわけです。

借入金が大きければ、それだけ節税には有利だったりするので、建築費の下方圧力が働かないわけです

一般的な建築会社が建築した場合は25%〜30%程度と言われていますが、相続税対策アパートの場合、前述の理由から値引き要求が厳しくありませんから、利益率はもっと高く最終的には40%くらいになるかもしれません。

約1億円の工事で4000万円くらいは建築業者の利益です。いかに割高であるかが分かると思います。

築年数経ったあの安普請の画一的なアパートは市場価値が低いので、逆にレオパレス21以上の募集ノウハウを持った不動産屋はないでしょう。極端ですが、建てたら負けという場合もあります。

そもそも一括借上げ契約は、90%の借上げであれば、92%以上の入居率がないとペイしないと言われているほど、会社にとってリスクの大きいことなのです。

オーナーとの契約の進め方に問題があり(2008年当時)

一括借り上げ契約と建築請負契約の順番

まず返済計画を示して利回りの説明をして、建物の建築請負契約を行いますが、しかしこの時点では、レオパレスの内部では、オーナーに示した収支計画書(返済計画について、本社の決済がとれていません。

当然ですが、銀行の融資についてもこの時点では決定していません。すべて見込です。

その後、建物が完成して、レオパレスとオーナーとで一括借り上げの契約を行いますが、この時点では、本社で決裁がとれた収支計画書(返済計画)を示して、賃貸借契約を行います。

しかし、建築請負契約の時点で示した返済計画の借り上げ金額が減額されていることがあります。

当然返済計画に支障をきたす場合があるわけですが、この時点で返済が厳しいと気がついても遅いのです。なぜなら、建物が出来上がっているので、厳しい返済計画でも飲むしかなくなるからです。

もしこの返済を拒むと、建物は、レオパレスの名義で一端登記されてしまいます。

大事なことは、契約は一括借り上げの契約が先で、建築請負の契約はその後と言う事です。

建設費用の中に負担が計上

建物の保守については、毎月の積立がありますが、それ以上の負担はありませんと説明がありますが、すでに最初の建設費用の中に数十万円~数百万円の負担が計上されています。

また10年間の借り上げ費用も最初の建築費用の中に含まれているので、建築費用はその分、他社より割高になっています

11年以降保証賃料がドンドン下がるので、借金を返せなくなって破綻することになります。

(常識的に高いと思われる建物でも)銀行の評価額は高い

銀行から借りるとき建物は普通価格の60~70%です。

レオパレスでは「りそな銀行」(2008年当時)から87%評価されるのだそうです。バブルを生む銀行の体質というのが垣間見えるような気がします。

それだけ信用がある会社ということなのかもしれませんが、実は銀行はオーナーの他の資産もチェックした上でお金を貸しているのだと思います。

常識的には高いと思われる建物に、高い評価額で資金を貸してそれでも銀行がOKなのは、このビジネスモデルが継続している限り、基本的には銀行としては困らないからです。

オーナーは建物をレオパレスに一括借上げしてもらっているので、まるで子供を人質に取られていような形になります。

それでもアパート等の賃貸経営というのは、自己責任の部分が多い事業です。自分なりにしっかりと見極めたうえで、やるかどうかを決めていただきたいと思います。

レオパレス21のビジネスモデルの市場性は

全国に支店を展開している企業を想定してみます。

新入社員は入社時に大抵2週間程度の合同研修を受講し、研修後に全国支店のどこに配属されるかが決定されたりします。

自前の宿泊施設を持つ会社でない限りは、その会社は研修期間中に、自宅通勤不可能な新入社員諸君の宿の手当てをせねばなりません。

仮に市街地の1泊7千円のホテルを予約したとして、半月の滞在費用は割引などを考慮しなければ、10万円超にもなってしまいますが、マンスリーマンションならば敷金・礼金が不要ですから、家賃が半月で6万円であれば、ホテル住まいよりも遥かにリーズナブルなわけです。

レオパレス21のような大手であれば、全国ネットでこのような法人ニーズを救い上げ、橋渡しすることが可能となってくるのではないかと思います。

訴訟の事例

老朽借家の明渡しで訴訟の事例

レオパレス21は、全国各地で老朽借家の明渡しで家主の依頼を受け、明渡しを請求する事件を起こしています。

2010年7月、府中市片町に住む山田さんと内野さんは、40年以上今の借家に住んでいるけれども、前年9月に家主とレオパレス21の社員が来て、ワンルームマンションを建てるので、12月一杯で退去するよう求められました。

山田さんたちにとって、あまりにも急な話で返答に困っていたところ、家主はレオパレス21の専属弁護士を代理人に立て、明渡しの裁判を東京地裁八王子支部に起こしてきました。

このように、ワンルームマンションを建設し、一括借上げで家賃等の管理を行なうというやり方で、レオパレス21は急成長しています。

2008年10月、レオパレス21に全額支払い命令、家主の請求が認められた事例

「レオパレス21」(東京)から物件を購入した家主の男性が「契約通り物件の買い戻しに応じないのは不当だ」として買い取り代金1億7840万円を支払うよう同社に求めた訴訟で、大阪地裁(山下郁夫裁判官)は8日、全額支払いを命じる判決を言い渡しました。

判決によると、男性は1991年、和歌山県内のアパート物件を1億7840万円で購入。契約時の特約に「引き渡しから10年経過後15年以内に、家主から請求があれば契約時の金額で買い取る」とあり、15年目の2006年に電話で同社担当者に買い戻しを求めました。

同社は訴訟で「書面によらない申し出は無効」と主張しましたが、判決は「契約の条項に明示されていない」と退け、買い取り義務があると認定しました。

冷静な判断を失わせるための嘘もあった!?和歌山での事例

レオパレス21が原告A氏に渡した資料には、「30年一括借上げシステム」と記されていました。

そして10年目までのシミュレーションを見せるなどし、オーナーに30年間アパート建築費のローン返済額を上回る家賃収入が保障されるような説明を行うなどしていました。

しかし、 アパート完成後に締結する「建物賃貸借契約書」を見せないことを不審に思った原告の家族が、レオパレス21にその提示を求め、契約内容が説明と異なっていることに気がつきました。

「建物賃貸借契約書」では、10年を経過した後の一括賃貸料については2年毎に改定されるものと記されていたのです。

レオパレスは8月下旬にダイレクトメールを送り、原告宅を来訪した際に「10月初旬から解体工事を始めれば、春の引っ越しシーズンに間に合う」として契約を急がせました。

初顔合わせの2日後に、説明会があるからという理由で名古屋まで原告を連れていき、その場で工事請負契約を締結させています。しかしその後、レオパレス側からの提案で、解体工事着工は11月初旬からに変更されました。

最初の「10月から解体しなければ間に合わない」という発言は、原告を急がせて冷静な判断を失わせるための嘘であった可能性が考えられます。

このように、アパート建設を急がせなければならない理由が多々有った訳ですが、レオパレス21は、自ら招いた経営の失敗に堪えられず、2011年8月の「終了プロジェクト」へと繋がっていきます

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)