【サブリース経営】貸付バブルの崩壊シリーズ(1)脱・不動産事業の発想から生まれた新ビジネスモデルの危険性 ~「家賃0円・空室有」でも儲かる!? ある地方銀行と作り上げたビジネスモデル ~

当センターに寄せられる相談の中で最も多い融資先が地方銀行です。ただ、地方銀行の収益減少のスピードが予想以上に速まっているとの報告書を、金融庁は2017年10月25日に発表しました。

レポートでは、地銀の利益見通しについて、独自の分析を公表しています。16年のレポート(金融庁「平成28事務年度 金融レポート」)によると、今のままだと25年3月期に全国106行の6割超で貸し出し手数料ビジネスという本業で赤字に陥ると試算しています。

そういった中、サブリースを軸にしたビジネスモデルを地方銀行が構築しています。今回はこういった地銀の動きを見てみたいと思います。

金融機関リストラの時代か

2017年10月30日の読売新聞(「三井住友FG、業務4千人分減…20年度までに」)によると、「三井住友フィナンシャルグループ(FG)は事務作業の効率化を進め、2020年度までに4000人に相当する業務量を減らし、浮いた人員の半分程度を、資産運用の相談業務など成長分野に充てる方向で検討していることが分かった。」とあります。同じくみずほ銀行も業務改善を行っていくようです。

金融緩和を背景とした低金利がいつまで続くか見通せず、高齢化の進展で預貸率も下がります。人口が減少すれば、銀行の店舗が過剰になり、営業経費もかさみます。体力があるうちにビジネスモデルを変える努力をしなければ、将来的に問題が噴出しかねません。

貸付残高の内訳を見ると安心できる状況ではないでしょう。残高増の主役は個人向け融資です。17年3月期は2兆9千億円と16年3月期より5千億円増えています。その多くはアパートやマンションなどの不動産投資なのです。

資金需要を掘り起こすビジネスモデルを模索

金融庁の調査によるとアパートの空室率は築5年では2.6%ですが、10年で7.1%、20年で11.6%と加速度的に上昇していきます。節税という目的とは裏腹に、むしろ高いリスクを長期にわたって背負い込むことになりかねません。

そこで金融庁は、借り手に対するリスク説明を充実させるよう、銀行に求めています。

水面下でじわじわと体力を削られている地銀がどんなビジネスモデルを模索すればよいのか、取引先企業の経営を改善して資金需要を掘り起こす、具体的策を検討し実践する必要があります。

ある地銀と作り上げたビジネスモデル

最近、次のような謳い文句のTVコマーシャルが流れています。

  • 女性専用シェアハウス・実現した社会貢献型ビジネス
  • 家賃外収入というイノベーションを実現
  • 30年一括借上のサブリース
  • フルローンで融資可能
  • 不動産業界に革命を興す!

この宣伝効果もあり、大変属性のよい約500名もの投資家が、この企業に参加していますが、これはバブル崩壊時前にも良くあった手法に似ていて、フルローン若しくはオーバーローンで、数億単位で貸し出しを行っています。

不安を感じるオーナーたちが、当センターに続々と相談を

現時点ではまだ現れていませんが、歴史は繰り返すで、間違いなくこのビジネスモデルは綻びを呈していくと思われます。

そういったことを肌で感じているのか、オーナーからの相談が当センターに多く寄せられています。特にこれからサブリース契約をしようとする直前に、「これからメーカーと話し合いなんだけれども、契約内容を確認して欲しい」といった感じでの相談が増えています。

当センターとしては、この問題を把握しており、大きな社会問題となると認識していますので、「サブリースオーナー会」を設立し、対応したいと考えています。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)