【サブリース経営】リフォームは再投資=資本改善 ~ 不動産の価値を高めるプロパティマネジメント ~

賃貸経営オーナーの目標は資産を増やすことですから、家賃を維持しながら空室を埋めて収益をあげたいと考えています。それに対して、管理会社は入居率をあげることを目標にしています。

サブリース解決センターの相談で良くある例ですが、数ヶ月部屋が埋まらない場合、サブリース管理会社の判断で家賃を下げます。

次に、オーナーに対しては、家賃の減額請求を行ってきます。

極端ですが、管理会社は、オーナーに対し、減額請求が出来る道があるので、とにかく“入居さえ付けば良い”と言う考え方なのです。

このように両者の間には根本的なズレがあることを、オーナーは知っておく必要があります。

故障や不具合の修繕費、リフォーム費用はオーナー負担

管理会社の通常業務というのは、主に以下のことがあります。

  • 客付け、
  • 入金管理、
  • クレーム対応、
  • 入退去の立会い、
  • 原状回復・修繕の手配
  • 定期清掃 等

上記業務の中で、例えば定期巡回等で故障や不具合を発見した場合、ほとんどの管理会社が「○○が壊れています」。その修繕費用の見積りをオーナーに出し、工事の許諾を求めてきます。

さらに入居促進のために「入居者が入らないのでリフォームしましょう」というケースがあります。このリフォーム費用もオーナーが負担をすることになります。

管理会社が提案してくるのはいいのですが、リフォームに対する費用対効果というのはあまり提示されていないようです。運用という観点から考えれば、管理会社側も費用対効果を考えた上で、本来なら提案すべきでしょう。

リフォームに対する費用対効果

一般的には、リフォームのポイントは、ターゲットとなる層を意識したもので、セキュリティを上げるためのモニター付きインターホン設置と、浴室・キッチン・トイレなど水回りの充実となります。

リフォームは、再投資=資本改善にあたります。

出口を見て考えた場合、「リフォームにかけた金額によって、家賃がどのくらい上がり、収益がどのくらい上るのか」というところまで、しっかり計算をして、「その修繕・リフォームをするのか、それともしないのか」を判断します。

工事費用200万円を掛けた場合の出口シミュレーション

例えば、6万円の部屋が20戸あり、以下のような出口設定をしている投資物件をシミュレーションしてみましょう。

  • 月の家賃収入120万円、年間で1,440万円
  • 物件価格が1億2,000万円だとすると、表面利回りは12%。
  • 5年後に13%で売却

上記物件に対し、以下のリフォームを考えたとします。

工事 全室にモニター付きインターホン設置
工事予算 200万円をかけて全室工事
家賃 平均2,000円アップ

全室にモニター付きインターホン設置して、家賃を平均2,000円アップする場合、その200万円の工事をするしかないかという判断をするために、どう計算したらいいのでしょうか。

1億2,000万円で買った物件を、5年後に利回り13%であれば売れるのではないかと想定すると、以下のような計算になります。

1,440万円 ÷ 13% = 1億1,076万円で売却

今回、200万円かけてリフォームするわけですが、そのリフォーム効果として家賃を1部屋あたり2,000円アップしたとすると、62,000円x20戸で、年間家賃収入1,488万円になります。

売却時、1,488万円に対し、利回り13%だとすれば、以下のような試算になります。

1,488万円 ÷13% = 1億1,446円で売却

同じ利回り13%といっても、リフォームにより家賃が上がっているので、リフォーム前の 1億1,076万円で売却に比べ、370万円の差額があります。

つまりリフォームという200万円の投資をすることによって、売却益が370万円も増えることになります。

今回はリフォームだけの費用対効果シミュレーションでしたが、大規模修繕についても、この様な費用対効果のシミュレーションを行ってみる必要があると言えます。

修繕は「修繕費」と「資本的支出」に分けられる

修繕による支出は、内容や金額により「修繕費」と「資本的支出」に分けられます。(参照:「修繕費」と「資本的支出」 形式基準区分方法のフローチャートについては高田紀子税理士事務所Q&Aを参照。)

形式基準のポイント

  1. 資本的支出に該当しても20万円未満ならすべて修繕費
  2. おおむね3年以内の周期で修繕・改良等が行われているものはすべて修繕費
  3. 金額にかかわらず明らかに原状回復工事といえるものは全額修繕費
  4. 区分不明なものは、60万円未満または取得価額の10%以下ならすべて修繕費
  5. 区分不明なもの(1.~4.の適用を受けるものを除く)は、継続適用を条件に支出金額の30%か取得価額の10%のいずれか少ない金額を修繕費、残額を資本的支出
※資本的支出に該当するものは、全額必要経費とすることはできず、資産に計上することになります。つまり、減価償却費として毎年耐用年数に応じて必要経費に計上されます。

なお、エアコンや給湯器などの設備が古くなったものを、新しいものに取り替える場合には、原状回復工事ではありませんので、試算時には注意が必要です。

このように、投資とは費用対効果などを常に見ながら行うことが大切なのです。

ただ、管理会社さんがオーナーに対し、このような提案をできるかというと、残念ながらできていないのが現状のようです。

「資本改善」とは

物件に対して再投資を行ない、収益を上げることを「資本改善」といいます。資本改善にあたっては、再投資(リフォーム等)に対して、費用対効果はどれくらいあるのかをしっかり計算する必要があります。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)