「家族信託」とアパート経営

一般社団法人を活用した相続対策も有効!?

親が認知症を発症してしまうと、融資を受けることも、預貯金を動かすことも、さらに親名義の不動産を売却すこともできない。

認知症発症者数及び認知症率が年々増加している。親が発症した途端、銀行口座は凍結され、相続対策は打てなくなってしまうのだ。

そこで、今注目を集めているのが、「家族信託」だ。家族信託とは、財産管理の一手法で、資産を持つ人が自分の老後の生活や介護・納税等に必要な資金の給付、資産の管理・有効活用、円満な資産承継などの特定の目的にしたがって、保有する不動産・預貯金等の資産を「信頼できる家族」に託し、その管理・処分を任せる仕組みだ。「家族信託」は身内に任せるため、高額なコストは発生しない。

家族信託の3つのメリット

家族信託には次の3つのメリットがある。

  1.  認知症対策としての有効性
  2.  被相続人の思いに即した資産承継の実現
  3.  不動産の共有問題の紛争防止

さらに家族信託は相続対策の急な変更に対応しやすいのも利点だ。

一般社団法人を活用した相続対策も有効!?

一般社団法人を活用すると長期的な相続対策として有効であると言われている。

一般社団法人を設立して、家族信託の受託先とする。一般社団法人には資本金の概念がないため、出資者も不在。家賃を一般社団法人の口座に入金してもらうことで、家賃収入による内部留保が増える。

しかも、この一般社団法人に貯蓄された資金は現在、相続税の対象外になるので、長期的な視野で考えたとき非常に有効な対策方法と言われている。

相続税対策に一般社団法人を積極的に勧める税理士の中には「税制の問題はない」と言われる方もおられる。その「税制の問題はない」と言う理由の一つとして「一般社団法人についての税制が明確にされていない」ことが挙げられているが、これはあまりにも短絡的な気がする。

現行税法が整備されていないため、課税関係が明確ではない。ならば遠い将来に税制改正の可能性が出てくる。

相続税対策は財産を子孫に引き継いでいくことを前提とすることから、長期間の視点で物事を考えるべきであり、「現在の税法に限って有効である」というような5年や10年といった短期間の視点で物事を考えるべきではないのではないか。

これを税務リスクという、これを十分に理解する必要がある。

一般社団法人+サブリース

受託先を一般社団法人として、現行税制上のメリット享受し、アパート経営方式としてのサブリース制度を利用し、受託先一般社団法人で家賃管理を行なう。新たな方式で一考に値する。

大谷昭二(日本不動産総合研究所所長)
(サブリース問題解決センター長)